サンディエゴ動物園は、職員が中国四川省にあるジャイアントパンダ保護研究センターの臥竜神樹坪と雅安碧峰峡の両基地を訪れ、同園に送られる予定の2頭のパンダ、雲川(ユンチュアン)と鑫宝(シンバオ)と面会したことを明らかにした。同園は、パンダの具体的な到着日は未定としながらも、両国で必要な手続きが完了すれば、今夏にも到着が見込まれるとしている。
ユンチュアンは5歳の温厚な雄で、2007年にサンディエゴ動物園で生まれた珍珍(ジェンジェン)の子どもだ。一方のシンバオは4歳の雌で、同園は「優しく機知に富んだ内向的な性格で、かわいらしい丸顔と大きな耳が特徴」と紹介している。
米中の緊張が高まる中、米国の動物園で飼育されているパンダの数は、ここ数年で激減している。米テネシー州のメンフィス動物園と首都ワシントンのスミソニアン国立動物園は昨年、貸与契約が更新されなかったため、パンダを中国に返還した。現在米国内に残っている唯一のパンダは、南部ジョージョア州のアトランタ動物園にいる4頭のパンダだが、今年末で貸与契約が切れる。
1972年に米中が国交正常化に向け接近して以来、パンダは両国の外交で重要な役割を果たしてきた。最初のパンダは同年、当時のリチャード・ニクソン米大統領の訪中後に米国に送られた。その後10年の間にさらに複数のパンダが、通常は10年の貸与契約で米国各地の動物園に送られた。ところがここ数年、米中関係が悪化するにつれ、「パンダ外交」の存続を危ぶむ声が聞かれるようになった。
そんな中、昨年米サンフランシスコを訪問した中国の習近平国家主席は「パンダは長年にわたり、中国人と米国人を結ぶ友好の使者となってきた。われわれは、パンダ保護に関する米国との協力関係を継続する用意がある」と述べ、パンダ外交の継続をほのめかした。
サンディエゴ動物園はパンダの調査や保護活動について、中国野生動物保護協会と協議しているという。同園は、ジャイアントパンダの保護状況は改善されつつあるが、健全な個体数を回復させるためには引き続き数多くの取り組みが必要だとしている。
世界自然保護基金(WWF)は、野生に残っているジャイアントパンダの総個体数を約1800頭と見積もっている。国際自然保護連合(IUCN)は、ジャイアントパンダを絶滅の恐れがある野生生物の「レッドリスト」に掲載し、「危急種」に分類している。
(forbes.com 原文)