海外

2024.05.06 12:00

「人型ロボット」で1000億円調達、38歳の米スタートアップ創業者

Figure founder and CEO Brett Adcock(C)Figure

人型ロボットを開発するスタートアップ、Figure(フィギュア)の創業者でCEOのブレット・アドコック(38)は、自社のロボットへの自信を深めているが、それには理由がある。

1月に同社はBMWとの協業を発表し、自社のロボットをサウスカロライナ州の製造工場で働かせることを目標に掲げた。そして2月29日、フィギュアはマイクロソフトやエヌビディア、OpenAIのスタートアップファンド、ジェフ・ベゾスなどから26億ドルの評価額で6億7500万ドル(約1060億円)を調達した。同社はまた、人型ロボット用の人工知能(AI)モデルを開発するための協業契約をOpenAIと締結した。

この調達によって、カリフォルニア州サニーベールを拠点とするフィギュアの約50%を所有するアドコックは、ビリオネアの仲間入りを果たした。彼が保有するフィギュアと以前のスタートアップの株式の価値の合計は、推定14億ドルに達している。

アドコックの会社は、2062年の未来社会を描いた米国の人気アニメ『宇宙家族ジェットソン』のような世界を目指している。すべての人間が家で自分専用のヒューマノイドロボットを持ち、料理や掃除、洗濯といった日常の細かな作業をロボットにやらせるような未来だ。「人型ロボットはやがて、世界で最も重要なビジネスの1つになるでしょう」とアドコックは話す。

しかし、その夢を実現する前に、創業2年の同社は解決すべき課題を山ほど抱えている。例えば、同社の「Figure 01」と呼ばれるロボットの歩行能力は、まだ発達段階で、フォーブスが最近同社のオフィスを訪れた際に目撃したように、歩き始める前に、ケーブルに接続して5分ほどウォームアップする必要がある。

しかし、予定どおりにはいかない。ウォームアップの途中で股関節にトラブルが生じ、右足が奇妙な角度で激しく回転した。その数分後、従業員2人がソフトウェアを修正するとFigure 01は自力で歩き始めたが、一歩ごとに金属部品がカチャカチャと音を立てた。

ロボットはここ数十年で大きく進歩し、今では自動車の組み立てや倉庫内での荷物の移動などに使われており、近年は、AIを搭載した人型ロボットへの関心が高まっている。

このような二足歩行ロボットの開発に取り組んでいる企業は、他にも数多くある。テスラは「Optimus(オプティマス)」と呼ばれるロボットを開発し、車両の組み立てに使おうとしている。AIチップ大手のエヌビディアが、ロボットメーカーとの新たなイニシアチブを発表したとき、展示されていたロボットのほぼすべてが人型ロボットだった。
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編集=上田裕資

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