海外

2024.05.06 12:00

「人型ロボット」で1000億円調達、38歳の米スタートアップ創業者

Figure founder and CEO Brett Adcock(C)Figure

一方、アドコックは話を誇張する傾向がある。「私は、アーチャーで5世代の航空機をゼロから作り上げた」と彼は自慢するが、航空機の製造はチームワークであり、同社は5世代分の航空機を製造していない。彼はまた、フロリダ大学に「アーチャー・アビエーションeVTOLラボ」を設立し、個人で資金を提供したとも主張しているが、実際にはこのラボは、2021年にフロリダ大学の航空工学教授であるピーター・イフジュが立ち上げたもので、その資金を提供したのは、アドコック個人ではなく法人としてのアーチャーに加え、同社のアドバイザーを務めていたゴールドマン・サックスの元パートナーだった。
advertisement

「私たちがいなければ、アーチャーはおそらく実現しなかったでしょう」とイフジュ教授は語り、彼の研究室がアーチャーのために最初のプロトタイプを作ったと説明した。

サム・アルトマンとの親交

フィギュアの立ち上げにあたってアドコックはパロアルトのWeWorkを拠点に、ロボット工学に携わるあらゆる人々に声をかけた。「ブレット(アドコック)は私たちに、人型ロボット分野の最強の人材を獲得するつもりだ」と説明しました」と、アーチャーとフィギュアの両方に投資した投資会社タマラック・グローバルのジョン・マコーミックは話す。

そして彼は、2022年8月までに8人の従業員を採用し、その後もボストン・ダイナミクスやグーグルのDeepMind、テスラ、アップルのEV極秘プロジェクトであるSpecial Projects Groupなどからの採用を続けた結果、現在の人員は90人にまで増えている。

アドコックは当初、自己資金で会社を設立した。彼はいくら出資したかを明かしていないが、情報筋によれば約2000万ドルだったという。(Vetteryの売却益に加え、彼は少なくとも7000万ドル相当のアーチャーの株式を売却している)。2023年3月、フィギュアはパークウェイ・ベンチャー・キャピタルが主導した資金調達ラウンドで、インテル・キャピタルを含む投資家から7000万ドルを調達した。
advertisement

2月の6億7500万ドルの調達においては、アドコックの業界におけるネットワークが役立った。アドコックによると、OpenAIがフィギュアに出資の話を持ちかけたときに、彼はすでにサム・アルトマンと親しくしていたという。「私は以前から、サムと親しくしていて、ある日、ロボット工学に興味を持つOpenAIのチームが、『あなたは世界最高のチームを持っている』と声をかけてきた」と、アドコックは語った。OpenAIは、フォーブスのコメント要請に応じなかったが、同社のバイスプレジデントのピーター・ウェリンダーは、資金調達に関するプレスリリースの中で「フィギュアのこれまでの進歩に圧倒されています」と述べていた。
次ページ > フィギュアの6億7500万ドルという調達額

編集=上田裕資

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事