英国の調査会社Interact Analysisのロボット研究者のアッシュ・シャルマは、「フィギュアが人型ロボットを商品化するのは5〜6年先になる」と予想している。大きな問題は、ロボットの製造コストを十分に低くすることだ。アドコックは、フィギュアの最初のロボットの製造コストを開示していないが、「1台あたり5万ドル」まで下げることを目標としている。
農家に生まれNYの投資会社へ
イリノイ州の人口1700人の小さな村のモウェアクアで生まれたアドコックは、2人兄弟の兄として、3代続く農家の両親の下で育った。フロリダ大学で経営学の学位を取得した彼は、ニューヨークに渡り、シダー・キャピタル・パートナーズと呼ばれるヘッジファンドで働いた。2012年、彼は同じフロリダ大学を卒業したアダム・ゴールドスタインと共同で、金融やIT分野の人材をターゲットにしたオンライン求人マーケットプレイスの「Vettery」を設立した。そして2018年に同社を人材紹介大手のアデコ・グループに1億1000万ドルで売却し、アドコックは税引き前で推定3000万ドルを手に入れた。ゴールドスタインとアドコックはその後、ハードウェアの開発経験を一切持たないにもかかわらず電動航空機の世界に飛び込み、2018年にArcher Aviation(アーチャー・アビエーション)という電動エアタクシー会社を立ち上げた。彼らは、Jet.comをウォルマートに売却したマーク・ロアを含む投資家から資金を調達し、高額な報酬を提示して優秀な人材を呼び寄せた。そして3年も経たないうちに、2人乗りのエアタクシーの最初のプロトタイプを発表した。
2021年初頭にユナイテッド航空は、まだ飛行していないアーチャーのエア・タクシー最大200機を10億ドルで発注した。そして同年9月に、アドコックとゴールドスタインはSPAC(特別買収目的会社)を通じてアーチャーを上場させたが、その7カ月後にアドコックは突然会社を去り、2人はそれ以来いっしょに仕事をしておらず、その関係について語っていない。アーチャーの広報担当者はコメントを控えた。
同社の元コミュニケーション責任者のルイーズ・ブリストウは、「取締役会の決定でした。私が言えるのはそれだけです」と述べている。