米国の復権
ほんの数年前まで、大学キャンパスではピーター・ティールが立ち上げたパランティアのような防衛テクノロジー企業の採用活動に抗議する声が上がっていた。しかし、ウクライナやガザでの戦争、中国との緊張の高まりの中で、エル・セグンドのメッセージは、愛国心あふれる大学生を呼び寄せ始めた。「大学のクラスで国防について話すことはタブーでした」と、今年初めにエル・セグンドでハッカソンを主催したジョージタウン大学の学生、ラスマス・デイ・メイヤーは話す。「防衛テクノロジーの擁護者は、目の敵にされるのです」
このハッカソンは、彼が共同創業したアポロ・ディフェンスという会社が主催したもので、参加したエンジニアたちは、ウクライナ国防省に提案する軍事システムの開発に夜遅くまで取り組んだ。デイ・メイヤーとともにイベントを主催した、カタリナ・ブカツキーは、「ミッション志向であるこのイベントは、我々が目にする多くのハッカソンとは一線を画したものです」とフォーブスに語った。
「防衛テクノロジー分野では、明確な目標を持つことが大事なのです」と語る彼は、スタンフォードの学生だが、昨年夏にキーウを訪れ、現地の兵士たちとドローンの操縦方法を学んだ。
デイ・メイヤーは、エル・セグンドの起業家コミュニティには、集団的な目的意識があるとも述べている。「アメリカン・ダイナミズムが提唱するような、愛国主義的で相互に支え合う、統合されたコミュニティがここにはあるのです」と彼は述べている。
しかし、筋トレマニアの若手起業家が集う場所というエル・セグンドのイメージは、経験を積んだ創業者にとっては、潜在的な妨げにもなるようだ。元スペースXのトップエンジニアで昨年、カステリオンと呼ばれる極超音速ミサイル企業を設立したブライオン・ハーギスは、製造業の優れた才能にアクセスするためにこの街で会社を設立したという。アンドリーセン・ホロウィッツから1400万ドル(約22億円)を調達した彼は、この街のエネルギーが好きだと言いつつも、派手なカルチャーはちょっと余計だと感じている。
「米国の価値に興味を持つ熱狂的な若い世代がいるのは素晴らしいことです。でも、私たちの視点から見ると、彼らのカルチャーは、防衛分野のきわめて保守的な顧客層にリーチするのに必ずしも役立つものではないのです。でも、ともかく、彼らの活躍を祈りましょう」とハーギスは語った。
(forbes.com 原文)