海外

2024.05.05 13:00

「反シリコンバレー」を体現する起業家集団、グンド・ブラザーズ

Getty Images

2024年2月、ベンチャーキャピタル(VC)大手のアンドリーセン・ホロウィッツが、シリコンバレーで開いたパーティーには、グンド・ブラザーズと呼ばれる若手起業家たちが大挙して詰めかけた。ほぼ全員がマレットヘア(側頭部を刈り上げて襟足部分を長く伸ばした髪型)の彼らは、エナジードリンクをがぶ飲みし、ニコチンパウチを噛んで、愛国的な歌を歌いながら、ツアーバスに乗ってやってきた。

グンド・ブラザーズという呼び名は、彼らが拠点とする米国最大の軍需産業の街、エル・セグンドに由来している。

2016年にグーグルが、従業員からの反発を受けて国防総省との契約を破棄して以来、VCは防衛テクノロジー企業に1000億ドル(約15兆6000億円)以上の資金を投入し、シリコンバレーの異端児として知られるパルマー・ラッキーが立ち上げた軍事ドローン企業のアンドゥリル・インダストリーズのようなスタートアップを台頭させた。

ラッキーをお手本とするグンド・ブラザーズたちは今、シリコンバレーに新風を吹き込もうとしている。彼らは、筋トレに励みながらコードを書き、毎週ビーチで焚き火をしてエナジードリンクを飲みまくる。B-2という名の爆撃機で知られるノースロップ・グラマンやロッキードのような先駆者たちが軍需産業の基盤を築いたエル・セグンドに拠点を構える彼らは、米国がハードウェア製造の原点に立ち返るべきだと主張している。


次世代原子炉のスタートアップ、ヴァラー・アトミクスをこの街で設立した起業家のアイザイア・テイラーは、グンド系の創業者たちの価値観を1950年代のタバコの広告になぞらえた。

「米国は復活した、男たちはロックだ、ニコチンはいいものだ、我々は再び月に行く(そして火星にも)といった空気が、ここにはあります。ソフトウェア企業ばかりが注目されるのは、もううんざりなんです」と彼はフォーブスに宛てたメッセージで語った。「自国を守ることは良いことであり、そのための兵器システムを作るのは素晴らしいことです」
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編集=上田裕資

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