次の3作品は、メンタルヘルスの問題とともに生きる現実を垣間見せてくれる。これらの映画は、演出や物語がすばらしいだけでなく、日々の問題の残酷でほろ苦く胸をえぐられるような現実という新鮮な何かに光を当てている。
1. 『ファーザー(The Father)』2020年
『ファーザー』は、認知症とそれが人間関係に与える影響を掘り下げた感動的ドラマだ。物語は認知症の父の視点で語られ、方向感覚を失わせる没入的体験を観客にもたらす。彼の記憶が失われるにつれ、時間や場所、人々の認識がずれ、現実と想像の境界が曖昧になっていく様子を映画は描いていく。アルツハイマー病や認知症を矮小化した表現は、ステレオタイプや過度の単純化に走ることで病気の本質を誤って伝えがちだ。その種の描写では認知症が記憶喪失や精神錯乱の単純なケースとして扱われ、その複雑な行動パターンが単なる物忘れとしてまとめられるのが普通だ。患者はしばしば、ぼっとした老人として描かれ、軽いジョークのネタやプロットデバイス(物語上のしかけ)として使われる。
対照的に、認知症とアルツハイマー病に関する研究論文は、進行的な認知力低下、推論能力の障害、人格の変化などで特徴づけられるこの病気の恐ろしくて動的な特質を紹介している。そのような研究では、患者とその看護者に与える感情的、心理的影響が浮き彫りにされ、長期的な看護、法的判断、終末期の計画が必要であることが示唆されている。
『ファーザー』は、米国の主要な死因の1つである認知症の現実を、単なる1つの型に矮小化することなく、正確に描写している傑出した作品だ。この映画は、認知症が患者と家族それぞれに与える影響を、繊細かつ誠実に表現している点を称賛されており、勇気ある現実的な描写によってこの病気の課題を提起している。この信憑性こそ、『ファーザー』が必見である理由だ。本作品は矮小化を超越し、教育的で共感を呼ぶ描写を提供している。