ブルームバーグによると、バイドゥはテスラの「フルセルフドライビング(FSD)」と呼ばれる運転支援システムに必要な地図とナビゲーション機能を同社に提供するという。このテクノロジーは、ユーザーがほぼ自動で車両を運転できるようにするものだが、データのセキュリティなどの懸念から中国では利用できなかった。
バイドゥとの提携によってテスラは、自社で中国の道路をマッピングしたり、関連データを収集したりする必要がなくなるため、こうした懸念が緩和される可能性がある。両社ともフォーブスのコメント要請に応じなかった。
中国国営の新華社通信は、テスラのイーロン・マスクCEOが先の週末に中国をサプライズ訪問し、4月28日に北京で李強首相と会談したことを報じた。
新華社は、マスクと李首相との会談の内容の詳細を明らかにしていないが、李首相は、上海の党書記時代にテスラのギガファクトリーの設立で重要な役割を果たした人物だ。しかし、マスクにとって重要な議題は、テスラにとって最大の海外市場である中国でのFSDサービスの展開に向けた交渉だった。同社は、中国においてますます激化する競合他社との競争や、価格の引き下げ圧力に直面している。
販売台数の減少を受けて、世界規模のレイオフを実施したテスラは、中国で勢いを取り戻す必要がある。中国の消費者は、EVの価格だけでなくインテリジェントな運転テクノロジーに注目しており、シャオペン(小鵬汽車)やファーウェイが支援するAito(アイト)のような現地のライバルは、常に技術をアップグレードしている。
マスクの今回の中国訪問は、バイドゥという現地パートナーの獲得に役立っただけでなく、規制面でのハードルをクリアする上でも役立ったようだ。中国自動車工業協会(CAAM)は28日、テスラの現地生産のモデル3とモデルYが、中国での主要なデータ・セキュリティ・テストに合格したと発表した。
テスラは、プライバシーとデータ収集に関して中国当局の要件を満たしたとCAAMは発表した。テスラの車両は中国で、少なくとも2021年以降、車両に設置されたカメラや収集するデータに対するセキュリティ上の懸念から、特定の政府関連施設への立ち入りが禁止されていた。そのため、この発表は同社にとって追い風となる可能性がある。
CAAMによると、テスラはBYDや理想汽車(リ・オート)、NIOを含む中国のEV企業とともにテストに合格した。
(forbes.com 原文)