好きだろうが嫌いだろうが、あの小さくて黄色いやつらは巨額の富を生み出す。映画『ミニオンズ』は公開週末の世界興行収入で軽く3億9500万ドル(約492億円)をたたき出した。1億1500万ドル(約143億円)に上る全米公開興行収入は、『トイ・ストーリー3』(1億1000万ドル)と『シュレック2』(1億800万ドル)を上回り、歴代2位を記録している。
『ミニオンズ』は『怪盗グル―の月泥棒』(The Despicable Me)をはじめとする怪盗グル―シリーズのスピンオフ映画で、黄色いトリオが新たなボス、悪党スカーレット・オーバーキルに出会うべく壮大な旅に出るという内容。ミニオンズの愉快で滑稽な仕草に、サンドラ・ブロックやジョン・ハムといった魅力溢れる俳優たちの声が加わり、子どもたちは大喜びし、その親たちも喜ばせることになった。
このままいけば『ミニオンズ』は『アナと雪の女王』(総興行収入12億7000万ドル/約1580億円)や、『トイ・ストーリー3』(総興行収入10億ドル/約1240億円)に次ぐアニメーション映画の大ヒット作になり得る。公開週末興行収入は、前作の8300万ドル(約103億円)や前前作の5630万ドル(約70億円)を大幅に上回る。それにしても、チンプンカンプンなおしゃべりを繰り広げる不思議な生き物たちの映画が、なぜこうも大ヒットするのだろう。
答えは単純だ。子どもたちは、もう一度同じ映画を観たいと言い出す。こういった映画は、大人にしか受けないアクション映画と較べて持久力があるのだ。疲れた親たちは子どもたちのためにDVDを購入する。そして、更には関連グッズの果てしない需要も見込める(アナ雪のベッドカバー、シュレックのランチボックスと同様に!)。かくしてアニメ映画のヒット作は、スタジオにとって大きな金のなる木になる。
推定製作費7400万ドル(約92億円)に加え、巨額の宣伝費も見込まれた『ミニオンズ』だが、映画製作と配給を行った、コムキャストComcast傘下のユニバーサル映画とイルミネーション・エンターテイメントにしてみれば、既にもとは取れているだろう。
イルミネーション・エンターテイメントは、ウォルト・ディズニーが支配するオリジナルアニメーション映画の世界で、急速に力を伸ばし一大勢力に躍り出た。ウォルト・ディズニーに巨額の興行収入をもたらした2013年の超ヒット作『アナと雪の女王』は、伝説的なスタジオ製作会社の映画界における不動の実力を世界に証明した。『シュレック』や『カンフー・パンダ』を大ヒットさせたドリームワークス・アニメーションは、長年ディズニーの最大のライバルだったが、近年この世界では、続々と他社が力を伸ばしている。そんな中、ユニバーサル映画とイルミネーション・エンターテイメントにとって、『ミニオンズ』は2010年の『怪盗グル―の月泥棒』と2013年の続編『怪盗グル―のミニオン危機一髪』に続く大ヒット作となった。
映画『ミニオンズ』は7月31日から日本で公開される。