農業市場を専門とする金融会社Hackett Financial Advisors(ハケット・ファイナンシャル・アドバイザーズ)のショーン・ハケット社長は、「ハケット・マネーフロー・コモディティ・レポート」で「コーヒー価格は次の収穫サイクルで史上最高値を更新する可能性がある」と書いている。
トレーディング・エコノミクスのウェブサイトのデータによると、コーヒー豆1ポンド(453g)あたりの過去最高価格は1977年3月につけた3.11ドル(約490円)。現在は2.29ドル(約360円)だ。
つまり、間もなくカプチーノやラテ、あるいはエスプレッソの値段が高くなる可能性が高い。
今までのように飲み続けるには、他の出費を減らすか、収入を増やす、あるいは奇跡に近いことが起こるのを祈るしかない。最悪の場合、朝のコーヒーを諦めることになるかもしれないが、多くの人がコーヒーなしで朝を過ごせるかはあやしい。これが、世界が直面している現実だ。
在庫は数十年ぶりの低水準
世界のコーヒー豆の需給バランスは今、明らかに不安定だ。米農務省のデータ分析で示されている。コーヒーの収穫は年をまたぎ、2023-24シーズンの世界の消費量は1億7000万袋(1袋60kg)になると推定されており、少なくともこの20年間で最多となる見込みだ。2005-2006シーズンは1億2500万袋だった。
だが、シーズン開始時の在庫が消費量に占める割合は劇的に縮小している。23-24シーズン開始時の在庫は消費量のわずか16%だった。これは少なくとも過去20年間で最低であるだけでなく、05-06シーズンの33%から大幅に低下している。つまり、在庫水準は半分以下になっている。
コーヒー産地の天候不順
在庫の落ち込みから、今年、コーヒー豆の供給が不足することはほぼ間違いない。2大生産国が天候不順に見舞われていることを考えるとなおさらだ。ハケットのレポートは「ベトナムの中心産地である中央高地で記録的な暑さが続き、乾燥した天候によりコーヒーの木がうまく開花せず、実がならなかった」と指摘している。
熟すと真っ赤になることからチェリーと呼ばれる実はコーヒー豆の生産に必要だ(編注:実の種子がコーヒー豆になる)。そして、ベトナムが現在直面している問題は、昨年のブラジルの状況に非常によく似ている。
生育がさらに悪化する可能性はあるのだろうか。ハケットのレポートには「6〜7月の霜害のリスクはそれほど高くないと思われるが、このほかにも脅威となる要素はある」と書かれている。
実際に天候不順に見舞われなくても、投資家が買いを入れてもおかしくない状況にある。今後の生育条件は良好ではないという観測だけで、こぞって買うかもしれない。
コーヒー価格の上昇に賭けたい人は可能な限り購入しておくといいかもしれない。また、先物取引に投資する方法もある。ただし、主要産地のこのところの異常気象を考えると、先物取引は非常に不安定だ。
(forbes.com 原文)