南サンフランシスコに本社を置くジップラインはこのほど、商用ドローン配送100万回を達成した。記念すべき100万回目は、アフリカ西部ガーナにある同社の配送センターから医療施設への輸液2袋の運搬だった。
インパクトのあるテクノロジーの構築
ジップラインの創業者たちは、アフリカでの医療物資の輸送を改善する方法の模索から始めた。輸送の改善が最も求められている場所を特定し、テックを活用した解決策を研究するのに約2年を費やした。「人々に根本的な影響を与えるテクノロジーを構築したいのであれば、テクノロジーを起点とすべきではない。人々に焦点を当てて始めなければならない」と共同創業者で最高技術責任者(CTO)のキーナン・ワイロベックはいう。考えていた解決策の1つは、ドローンを使っての医薬品などの配送だ。サプライチェーンについて学び、その供給システムに依存している医師や患者に話を聞くうちに、ワイロベックらは温めていた手法で解決できると確信した。
ワイロベックにとって忘れられないのは、タンザニアで研究プロジェクトに取り組んでいた公衆衛生学を専攻する大学院生との会話だ。その学生は、患者の治療に必要なものを欠く状況に直面した医師に、その後患者はどうなったかを毎回メールしてもらっていた。その学生が全データを入力したスプレッドシートを開き、患者の転帰に関する部分を表示したところ、圧倒的に多かったのは死亡だった。「ドローンがあり、人々が私たちにテキストメッセージを送ることができれば、必要なものを何でも送ることができると思った瞬間だった」とワイロベックは回顧する。「それが私たちの心に突き刺さった」
ワイロベックらはその後、計画を試すのに使うドローンを探すことにした。複数のメーカーと何カ月も話し合った後、自分たちのニーズを満たす防水設計のドローンを作る必要があるとの結論に至った(最終的な組み立てと試験は米国で行われた)。
それから1年半後、初めてのドローン輸送がルワンダで行われ、病院に血液を届けた。この時、医師らは救命するのに血液を必要としていた。ワイロベックらはまた、血液の取り扱いと輸送の専門家を見つけた。この専門家は何百人もの大学院生に献血してもらい、配送の有効性に関する研究を行った。医療当局がワクチンや医薬品など切実に必要としているものの配送を依頼するようになったとき、ワイロベックらは事業が有望であることを確信した。