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音楽、メディア、エンターテインメントビジネスを担当。

Daniel Boczarski/LP5/Getty Images for TAS

7月10日金曜日の夜、ニュージャージー州郊外のスタジアムが闇に包まれると、6万人の歓声があがった。スクリーンにはニューヨークの空らしき映像が映し出され、ダンサーの群れの中からテイラー・スウィフトが現れた。彼女が「Welcome to New York」を歌い出すと、歓声のボリュームはさらに上昇した。

その約24時間後、ニューヨーク州バッファローの郊外のスタジアムでは、年齢も血中のアルコール濃度もテイラー・スウィフトのファンの倍ほどの観衆が、興奮の唸り声を上げた。ステージに現れたのはザ・ローリング・ストーンズ。「Jumping Jack Flash」の演奏が始まると、メンバーの姿を捉えようとするスマートフォンの光が場内を埋めた。

テイラー・スウィフトとストーンズ。全く違った客層を持つ超大物たちには、いくつもの共通点がある。2夜連続で彼らのライブに足を運んだ私は、スタジアム級コンサートの過去と現在を垣間見ることとなった。

興行業界誌Pollstarによると、7月15日に終了したストーンズのツアー「Zip Code」は今年前半に行われた10箇所の公演だけで8070万ドル(約100億円)を売上げたという。チケットの平均単価は178ドル44セント(約2万2087円)。彼らが2015年のツアー興行収入トップに名を連ねることは確実だ。

一方、スウィフトの「The 1989 World Tour」の今年前半における米国内の公演数はストーンズとほぼ同数で、売上は4650万ドル(約55億円)。彼女のツアーは国内だけでも80公演以上残っているため、最終的にはチケット収入のみで2億ドル(約248億円)以上に達するだろう。

Pollstarのデータでは、今年前半に全世界で売れたチケット枚数は5700万枚、売上は34億ドル(約420億8000万円)。昨年前半から5.8%伸びた。この盛り上がりは北米において特に顕著で、トップ100のツアーは昨年より39%多い14億3000万ドル(約177億円)の売上を記録した。

コンサートビジネスが急拡大している背景には、北米の好景気と、南米やアジアでの平均所得の高まりがある。つまり、ライブに100ドル出せる人口が増えているのだ。スウィフトとストーンズは、高価な入場料をとりつつ6万人クラスのスタジアムを埋めることができる数少ないアーティストだ。莫大な制作費は十分回収できており、動員数が多いほど利益は大きくなる。

ニューヨーク州のスケネクタディ駅はストーンズのライブに向かう人々であふれていた。アムトラックを降りた私は、会場までタクシーに相乗りするよう運転士からアドバイスされた。「ミックに会ったら、マーティーがよろしくと言っていたと伝えてくれ!」と彼は言った。

私は3人の男女とタクシーを相乗りした。ニューヨークから来た30代のバレリーナと、フランスから来た美術商の中年男性、そして40代後半くらいのタトゥーが入った男性だ。3人はいずれも以前にストーンズのライブに行ったことがあり、フランス人は20年前のパリ公演を目撃していた。

アーティストの熱心なファンはかつてグルーピーと呼ばれたが、今は「スーパーファン」という名称が一般的だ。この新しい種族はSNS上に集い、団体を組んで行動する。

世間ではロックスターがいなくなったと言われて久しい。確かにメインストリームのラジオ局からエレキギターのうねりが聞こえてくることは少なくなった。だが、スウィフトのような若手が先達のロックスターたちを意識していることは明らかだ。往年の名曲のカバー曲を歌うことも多い。

終演後。私は駅のホームでフランス人に、20年前のパリ公演と今夜の観客がどう違っていたか訊ねた。彼が言うには「スタジアムは快適だったが、昔のほうが客席に熱気があった。パリ公演では観客がステージの柵を押し倒しそうな勢いだった」。その話を聞いて私は、昨晩のスウィフトのライブを思い浮かべた。

やがて列車がホームに到着し、私は見覚えのある顔に再会した。なんと運転士が行きの列車と同じだった。マーティーがニヤリとして言った。「ミックによろしく言ってくれたかい?」

文=ザック・オマリー・グリーンバーグ(Forbes)/ 翻訳編集=海田恭子

 

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