このような好調さのおかげで、フォーブスが発行する2024年版世界の億万長者リストでは、暗号資産分野での億万長者が17人ランクインしている(昨年は9人だった)。これらの17人の投資家や起業家が持つ暗号資産の推定保有額、公表されている株式保有額、個人資産を合わせると、合計930億ドル(約14兆4000億円)の価値がある。これは、昨年の合計資産370億ドル(約5兆7565億円)の2倍以上である。
3年連続で、暗号資産取引所のバイナンス創業者で元CEOの趙長鵬(チャンポン・ジャオ)がこの分野で最も裕福な人物となった。11月に米国のマネーロンダリング容疑で有罪を認めたにもかかわらず、資産総額は昨年の105億ドル(約1兆6338億円)から330億ドル(約5兆1348億円)へと増えている。この分野での資産増加額は彼がトップであり、世界で50番目に裕福な人物にもなった。彼の財産の大部分は、バイナンスの株式の大半からもたらされたもので、バイナンスは現在も取引高ベースでは業界最大の取引所となっている。
株式市場の好調さから資産を大きく増やした者もいる。ビットコインに多額の投資を行ってきたソフトウェア会社マイクロストラテジーのマイケル・セイラーCEOは、昨年の7億6000万ドル(約1182億円)に対し、現在は推定44億ドル(約6847億円)の資産をもつ。暗号資産取引所のコインベースでCEOを務めるブライアン・アームストロングの資産は推定112億ドル(約1兆7429億円)で、昨年の22億ドル(約3427億円)から大きく増加した。コインベースとマイクロストラテジーの株価は、それぞれ過去12カ月で4倍以上に上昇している。
今年のリストに初登場したのは、ジャンカルロ・デヴァシーニ、パオロ・アルドイノ、ジャン=ルイ・ヴァン・デル・ヴェルデ、スチュアート・ヘグナーの4人で、物議を醸しながらも大きな利益をあげるステーブルコイン発行会社テザーの大株主だ。その他にも、今年のリストにはフェイスブックで有名な双子のウィンクルボス兄弟、ベンチャーキャピタリストのティム・ドレイパー、リップルの共同創業者ジェド・マケーレブといったおなじみの顔も含まれている。