昨年の旅客数が過去最高の4590万人を記録したハマド国際空港は、業界で最も栄誉ある賞とされる総合1位の「ワールド・ベスト・エアポート」にも返り咲き、シンガポール・チャンギ空港から栄冠を奪還した。
近年、世界一の座を争っている両空港だが、ハマド国際空港は新型コロナのパンデミック(世界的大流行)中から積極的に改善を図ってきた。カタール航空グループのバドル・モハメド・アル・メール最高経営責任者(CEO)は先に、「当社はただ人々を運んでいるのではなく、旅行の未来を形作っている。業績は信念を持って卓越したサービスに取り組んでいることの表れ。最高のショッピング体験は、当社が総合的に提案するものの中で重要な要素だ」と述べている。
このようなコメントは上辺だけ、とみる向きもあるかもしれない。だが、ハマド国際空港の取り組みは、コロナ後の旅客数の回復スピードと、同空港が100%出資する小売業者カタール・デューティーフリー(QDF)の販促規模に表れている。
カタールでは2022年に中東初のサッカーワールドカップ(W杯)が開催された。そのときの集客数と比較されるという厳しい条件ながら、2023年のハマド国際空港の旅客数は前年比30%以上増加し、小売の売上も過去最高となった。QDFの昨年の売上高は10億ドル(約1570億円)を超えたとみられる。