2024.04.28 14:00

「世界一」奪還のドーハ・ハマド空港 「ショッピングも世界最高」の秘訣は

ドーハ・ハマド国際空港の屋内庭園(Q world / Shutterstock.com)

ドーハ・ハマド国際空港の屋内庭園(Q world / Shutterstock.com)

英航空格付け会社スカイトラックスがこのほど発表した世界の空港ランキング「ワールド・エアポート・アワード2024」で、中東カタールのドーハ・ハマド国際空港が「ショッピングに最適の空港」に2年連続で選ばれた。カタール航空のハブ空港として2014年4月に開港して以来、世界最高のショッピング体験ができる空港をめざして進めてきた取り組みが高く評価された。
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昨年の旅客数が過去最高の4590万人を記録したハマド国際空港は、業界で最も栄誉ある賞とされる総合1位の「ワールド・ベスト・エアポート」にも返り咲き、シンガポール・チャンギ空港から栄冠を奪還した。

近年、世界一の座を争っている両空港だが、ハマド国際空港は新型コロナのパンデミック(世界的大流行)中から積極的に改善を図ってきた。カタール航空グループのバドル・モハメド・アル・メール最高経営責任者(CEO)は先に、「当社はただ人々を運んでいるのではなく、旅行の未来を形作っている。業績は信念を持って卓越したサービスに取り組んでいることの表れ。最高のショッピング体験は、当社が総合的に提案するものの中で重要な要素だ」と述べている。

このようなコメントは上辺だけ、とみる向きもあるかもしれない。だが、ハマド国際空港の取り組みは、コロナ後の旅客数の回復スピードと、同空港が100%出資する小売業者カタール・デューティーフリー(QDF)の販促規模に表れている。
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カタールでは2022年に中東初のサッカーワールドカップ(W杯)が開催された。そのときの集客数と比較されるという厳しい条件ながら、2023年のハマド国際空港の旅客数は前年比30%以上増加し、小売の売上も過去最高となった。QDFの昨年の売上高は10億ドル(約1570億円)を超えたとみられる。

空港内でカタールを満喫「トランジット・ツーリズム」

ハマド国際空港の取り組みは継続的なものだ。W杯開催に合わせ、入念な計画で小売を拡大してきた。W杯の開幕直前に同空港は2万5000本の植物と300本超の樹木が植わった緑あふれる新区画の運用を開始。バーバリーやディオール、フェンディ、グッチ、ルイ・ヴィトン、モンクレール、ポロ・ラルフ・ローレンといった高級店も新たにオープンした。
次ページ > QDFが掲げる「トランジット・ツーリズム」とは

翻訳=溝口慈子

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