昨年12月にオープンしたこのスペースには、地元の小売店7店とレストラン2店が並ぶ。QDFが「トランジット・ツーリズム」と呼ぶ概念の一例だ。同社は、乗り継ぎ客を対象としたトランジット・ツーリズムが、免税店のブランディングによく使われる「センス・オブ・プレイス(場所の感覚)」の概念を次の段階へと引き上げると考えている。本格的な建築設計が、カタールの様式や香り、味を旅行者に印象付ける効果を発揮している。
食事の選択肢は、フードコート、ラルフズ・コーヒーや世界初の空港内オレオ・カフェといった目新しいコーヒーショップから、ベジタリアン向けのレストラン、ゴードン・ラムゼイ・バーガーなどセレブ御用達のレストランまで幅広い。予算に限りのある旅行者向けにはDay2Dayというコンビニがあり、高級時計が好きな人には中東初出店のタイムヴァレーがある。フェンディの2フロアにまたがる華やかなブティックもある。
4月にディオールの2号店がオープンし、5にはディオール・スパもお目見えする予定だ。QDFのタブ・ムスレ上級副社長は「世界一ショッピングが楽しめる空港として旅行者に選ばれたことが、当社のビジョンを証明している。『トランジット・ツーリズム』のような先駆的な取り組みにより、ハマド国際空港は人々が訪れたい場所となった。多くの新規出店や革新的な取り組みが予定されており、今後も差別化を図る方法を模索する」とコメントした。
アル・メールCEOは、差別化により同空港が高い評価を得たことを認識しており、こう語った。「卓越した旅行体験を提供することに終わりはない。目の肥えた旅行客のますます高まる期待に応えられるよう、今年も引き続き人々の旅路をよりすばらしいものにしていく」──他のブランドや小売企業も倣うべき点だろう。
(forbes.com 原文)