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2024.05.09 16:00

富裕層のための「守る」不動産投資。次の世代に残せる資産をつくるために知っておくべきこと

税制改正やインフレの影響で、資産は今や「築く」よりも「守る」ほうが難しいのかもしれない。国内外の株や債権など、ポートフォリオの分散に取り組む経営者は多いが、なかでも見落とされがちなのが不動産投資だ。そう指摘するのは、富裕層向けコンサルティングオフィス 有栖川アセットコンサルティングの代表 鈴木子音(写真。以下、鈴木)。「資産防衛」の手段としての不動産投資業界を俯瞰しつつ、新たな時代の資産管理のあり方について聞いた。


2022年度の税制改正大綱以降、着実に財産把握と徴税強化の波は高まっている。折しも急速なインフレの真っ只中にある日本では、現金保有資産は日を追うごとに目減りしていく一方だ。そうした状況下で、「不動産投資」の世界はどのように変化したのだろうか。

『適切な情報開示』と『顧客ニーズの理解』が不足する不動産業界


「不動産投資業界が抱える課題としてよく耳にするのは、『適切な情報開示の不足』と『顧客ニーズの理解不足』の2つです。

インターネット全盛の時代に『適切な情報開示の不足』とは意外かもしれません。確かに、どのような物件があるかという情報は、一般層でも簡単にアクセスできるようになりました。ただネット上にあふれているそれの多くは、自身で住むための住宅用不動産の情報です。投資用不動産については、まだ不十分と考えております」

一見、投資用不動産に関する情報も、さまざまな投資成功談など住宅用同様に数多く出回っているように見えるが、鈴木は肝心な部分が抜けていると指摘する。

「具体的な収益物件の情報は、今も業者内のクローズドな環境にあり、表には出てきません。住宅用なら定期収入のある職に就いていれば銀行でローンを組むのは比較的簡単です。ところが収益物件の場合は、それなりの収入と資産、動かせるお金が必要なうえ、『買いたい』という意思も必要です。収益物件の場合、売りに出していることを知られたくない売り手も多いので、そうした条件面をクリアし、業者への登録をしているお客様に限定して、情報が外に出ないように管理されているケースが多いのです」

結果、収益物件に関しては、情報の非対称性がいまだに存在していると鈴木は解説する。

もう1つの「顧客ニーズの理解不足」については、それまでの不動産業界の商習慣にあるようだ。

「従来の不動産仲介業者は、もともとリテラシーの高い不動産投資のプロフェッショナルに売ることがほとんどだったように思います。そのため物件を保有するメリットや、物件の築年数や状態などのスペックに関しては詳細な説明が必要でしたが、相手はプロなので、デメリットやリスクについてはきちんと理解されていました。

そうした商習慣が現在も続いているため、お客様は自身のリテラシーで買うべきかどうか判断するしかない。その結果、購入後にお客様が予測できなかったリスクが表出し、クレームにつながるといったケースも聞きます」

こうしたクレームは、顧客に寄り添いニーズを深く理解することで避けられる場合が多いと鈴木は指摘する。

「そもそも誰にでも良い収益物件というものがあるわけではありません。高い収益を目指す方であれば、ハイリスクハイリターンの物件を好まれるかもしれません。今後の資産防衛に不安を感じている方であれば、収益性は低くても安定性の高い物件を良しとするでしょう」

そして、不動産投資を検討する有栖川アセットコンサルティングの顧客の多くは、後者の安定性を考えた投資を望む富裕層だと鈴木は言う。

「富裕層の方々にとっては、資産を増やすよりも、減らさず次の世代に残すことのほうが大切なのです。『築く』よりも『守る』に資産づくりの重点は変化し始めている印象です」

人それぞれに適した資産形成を提案する。そのためには、まずは顧客を知ること。家族構成はもちろん、資産状況や今後の収入見込み、将来的に望むステージはどのようなものか。さながら不動産を主軸に据えたプライベートバンカーのように顧客に寄り添うのが、有栖川アセットコンサルティングのスタイルだ。

鈴木子音 有栖川アセットコンサルティング 代表

鈴木子音 有栖川アセットコンサルティング 代表

富裕層の悩みはそれぞれ。寄り添うからこそ見えてくる適切な投資スタイル


では鈴木はなぜ、不動産業界で有栖川アセットコンサルティングを起業するという結論にたどり着いたのだろうか。

鈴木は、東京都で生まれ、幼少期より中国・アメリカ・シンガポールで合計17年間生活した経歴をもつ。その過程で旺盛なアントレプレナーシップを身につけ、学生ベンチャーの起業、ITベンチャーでのインターンを経て、リクルートに入社した。同社への入社は先々の起業を見据えてのものだった。当初は不動産領域に魅力を感じてはいなかったが、取扱高のスケールが大きいという理由でSUUMOへの配属を希望した。配属先では、数多くの首都圏の不動産会社を相手に経営改善・業務支援のコンサルティングに従事し、5年のキャリアを重ねるうちに、顧客のニーズをしっかりと把握して課題解決を行うソリューション営業にやりがいを感じるようになったという。顧客の信頼を獲得していくなかで事業規模がスケールし、富裕層とのネットワークもこの時期に広がっていった。

「その後、シンガポールに配属となり、M&Aをした企業のバリューアップに従事していたのですが、その間も不動産コンサルティング時代にお付き合いのあった友人や富裕層のお客様から、次々と相談が舞い込み続けました。

私もできる範囲でアイデアを伝えていたのですが、実際に仕事を手がけるわけではないので、できることに限界があります。どんなに顧客に対して適切な提案をしても、不動産会社の営業と話がかみ合わず、最後まで見届けることができないことにジレンマを感じることもしばしばでした」

鈴木の胸の内に、不動産業界で働きたいという気持ちが再び高まり始めたのはそんな状況からだった。顧客からも、「顧客に寄り添って考えてくれるし、知識もある。絶対起業したほうがいい」と背中を押された。

「帰国して、法務・税務専門家との緊密な関係を確保して、少数精鋭のメンバーによるチーミングで、富裕層一人ひとりの適切な資産形成をサポートする有栖川アセットコンサルティングを設立しました」

不動産を扱う際には、さまざまな法務・税務の複雑な業務と深い知識が必要になる。これまで相談に乗ってきたお客様の困り事や課題を解決できる不動産コンサルティングを行っていくためにはこの点は外せないと鈴木は考えた。今ではここをしっかり請け負えることが有栖川アセットコンサルティングの強みのひとつとなっている。

不動産アセットのリスクと将来展望


顧客と深い対話を行い、要望をしっかりと理解する。その要望実現のためにさまざまなソリューションを考える。さまざまな法務・税務にもしっかりとした知識で対処する。こうした有栖川アセットコンサルティングのスタイルで、象徴的なのが、多くの不動産会社で常識となっている自社物件の取り扱いがないことだ。

「自社物件に誘導して販売するほうが、利益を生みやすいのはわかっています。しかし私たちは、あくまで顧客の要望やヴィジョンを実現するのに適切な物件を探すべきだと考えています。そのため自社物件は敢えてもたないようにしています」

目先の利益よりも、長い目で見た顧客の繁栄、それこそがやりがいだと、鈴木は断言する。

「そこにはお客様に不動産投資に対するリテラシーを養ってもらいたいという思いがあるのです。私たちの事業は不動産投資がメインですが、あくまでそれはお客様のポートフォリオのアセットの1つだと考えています。富裕層顧客の未来をオーダーメイドで形づくる存在でありたいと考えています」

安定度の高い不動産アセットでも、実際には極端に地価が下がるリスクもある。その場合に鈴木は、どのような対策を考えているのだろうか。

「もちろんリスクは存在します。ただ東京都心の不動産の価格、特に土地に関しては世間一般の印象ほど高騰していないのが実情です。上昇率は概ね東証平均株価や各種物価指数と連動しているので、現状いわゆる不動産バブルではないと考えております。その上で、想定されるリスクを事前に知り、準備を怠らないことで影響を最小限にすることが必要な備えになるでしょう」

最後に鈴木が抱く将来展望について聞いた。

「私たちはプライベートバンカーであり、ライフプランナーでもあると思っています。相続を経て次の世代に至るまで長くお付き合いをしていきたいです。自分のプランは果たして正解だったのか。その結果は年月を経なければわからないこともあります。そのためにも、個人的には80歳まで現役でこの仕事を続け、お客様の幸せな未来を見届けたいのです」


有栖川アセットコンサルティング
https://aac-re.com/

鈴木子音(すずき・しおん)◎幼少期より中国・アメリカ・シンガポールで生活。慶應義塾大学在学中にベンチャーを起業し、大学卒業後はリクルートに入社。首都圏100社以上の不動産会社を相手に経営改善・業務支援コンサルティングを行いシンガポールオフィスに勤務。帰国後は有栖川アセットコンサルティングを起業。


※当記事は、特定の投資商品について情報の正確性、完全性を保証するものではありません。また当該記事に掲載のある商品等への投資の推奨、および価格等の上昇・下落を示唆するものではありません。

Promoted by 有栖川アセットコンサルティング / text by Ryoichi Shimizu / photographs by Masahiro Miki / edited by Akio Takashiro