実際、科学誌Planetary Science Journalに掲載が受理されたばかりの最新の論文によると、初期太陽系の新しい数理モデルを用いた解析の結果、小惑星帯の質量はこれまで考えられていたよりもはるかに小さかった可能性が高いことが明らかになった。
論文の筆頭執筆者で、米サウスウェスト研究所(SwRI)に所属するブラジル人惑星科学者のロヘリオ・デイエノは電話取材に応じ、小惑星帯は原初からずっと質量が非常に小さかったことが、今回の研究で初めて示されたと語った。
現在は火星と木星の軌道の間に広がる小惑星帯は当初、地球のおよそ500分の1の質量を持っていた。今日の小惑星帯の総質量は、地球質量の約2000分の1と推定されている。
初の決定的証拠
デイエノによると、このことを裏付ける決定的な定量的証拠を提供するのは、今回の研究が初めてだ。また、小惑星帯で最大級の天体の一部は、その場で形成されたものではない可能性があることが、今回の研究で示唆されている。これは、太陽系の初期の構造と進化に関する理解を大きく深める研究成果だと、デイエノは指摘している。論文によると、今回の研究では、原始惑星系円盤のガスがまだ存在していた時期における小惑星帯領域での天体の降着(重力で引き寄せられて集積する現象)について、小惑星帯の原初の質量を変化させて数値シミュレーションを行った。さらに、ガス円盤の散逸後に起きた天体数の減少を考慮したと、論文に記されている。
小惑星帯には直径1km以上の天体が約100万個存在するが、直径が500kmを超える天体は現時点で3つしかない。
準惑星のケレス、小惑星のパラスとベスタの3つだ。ケレスとパラスは小惑星帯の「C型小惑星」に分類され、木星の軌道以遠の領域に起源を持つ可能性が高いと、論文で指摘されている。