米カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究チームによると、Xが2022年末に正式導入したコミュニティノート機能は、新型コロナワクチンをめぐる投稿に含まれる誤った情報を訂正するために、最初の1年間だけで数百回利用されていた。
具体的には、2022年12月から2023年12月までに、ワクチンや新型コロナについて言及したコミュニティノートは4万5783件見つかり、うち650件あまりが新型コロナワクチンに関するものだった。主なトピックはワクチン接種による副反応、陰謀論、有効性などだった。
新型コロナワクチンに関するこれらのコミュニティノートのうち97.5%は、査読を受けた研究、一次ソース、主要な報道機関などの情報源を引用して完全に正確な情報を提供していた。これらの正確なノートは5億〜10億回閲覧されていたという。
論文の共著者のひとりであるニミット・デサイは「適切なツールが提供されれば、オンラインコミュニティが正確で質の高いエビデンスへと会話を上手に誘導できるというのは注目に値する」と声明で述べている。
「ワクチン忌避」招いた誤情報
世界保健機関(WHO)は2020年、ソーシャルメディアで新型コロナワクチンに関する誤った情報が急速に広まったことを「インフォデミック」と呼び、警鐘を鳴らした。2022年に学術誌「サイエンティフィック・リポーツ」に発表された研究によると、働いている米国人の半数超がソーシャルメディアでワクチンの危険性に関するデマにさらされた経験があると回答している。そうしたデマには、ワクチンが自閉症を引き起こすといったものや、米マイクロソフト共同創業者で慈善家のビル・ゲイツが、ワクチン接種を通じて人々にマイクロチップを埋め込む取り組みを進めている、といったものが含まれる。
ピュー・リサーチ・センターによれば、新型コロナ禍中の2021年8月時点で、米国人の48%は新型コロナワクチンに関する情報の多くまたは一部をソーシャルメディアから得ていた。