リッチリスト

2024.04.25 11:30

2024年版「若き」世界の億万長者たち、日本の佐上峻作社長もランクイン

マーク・マテシッツ(31歳、オーストリア)/396億ドル(約6.1兆円)Photo by Manfred Noger ATPImages/Getty Images

ランク入りした25人のほぼ全員が、昨年より資産を増やした。前年比で最も増加したのは、レッドブルの後継者マーク・マテシッツで、その資産は49億ドル(約7585億円)増加した。次いで資産を増やしたのはチェコスロバキア・グループの経営者であるミハエル・ストルナドで、昨年から24億ドル(約3700億円)資産を増やした。今年のリストの60%がヨーロッパ出身だ。残りはブラジル、韓国、香港、日本と米国などからランクインした。

最も若い億万長者たち25人(年齢が高い順に掲載)

純資産は2024年3月8日現在のもの。相続ではなく自力で富を築いた億万長者にはアスタリスク(*)が付与されている。カッコ内で年齢と国籍を示した。

エヴァン・シュピーゲル*(33歳、米国)/31億ドル(約4798億円)

シュピーゲルはスタンフォード大学を中退し、2011年にフラタニティの仲間だったボビー・マーフィーとレギー・ブラウンとSnapchatを立ち上げ、25歳で億万長者になった。現在、彼とマーフィーは、昨年46億ドル(約7121億円)の売上を上げたSnapの約4分の1を所有し、シュピーゲルはCEOを務めている。2022年、シュピーゲルはオーティス・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザイン(彼の母校の1つ)を同年に卒業した学生全員の学生ローンを代わりに完済した。

ジョン・コリソン*(33歳、アイルランド)/72億ドル(約1兆1000億円)

科学者の両親のもとに生まれたジョン・コリソンは、兄のパトリック(35歳)、タガー兄弟とともにeBay管理ソフトのAuctomaticを設立し、ジョンがまだ中学生だった2007年に同社を500万ドル(約7億7000万円)で売却した。ジョンがハーバード大学に入学し、その後中退した後(パトリックは隣のマサチューセッツ工科大学に進学)、2人は決済ソフトウェアのストライプを設立した。2016年、このユニコーンを92億ドル(約1兆4000億兆円)と評価する資金調達ラウンドにより、パトリックは当時世界最年少の26歳で億万長者になった。2024年2月に行われた株式公開買付けでは、同社は650億ドル(約6兆8000億円)と評価された。

佐上峻作*(33歳、日本)/19億ドル(約2941億円)

広告業界でスタートを切った佐上は、後継者がいなかったために不動産業を廃業せざるを得なかった祖父の経験がきっかけで、2018年にM&A総研ホールディングスを立ち上げた。同社は、経営者の高齢化で後継者が決まらない中小企業に対し、AIを活用したアドバイスを行っている。M&A総研ホールディングスの株価は、収益の急伸と日本におけるM&A件数の増加によって急上昇し、佐上もそれに応じて億万長者入りした。

ジョナサン・クォック/郭基浩(32歳、香港)/24億ドル(約3716億円)

彼と兄の郭基俊(ジョフリー・クォック)は、2018年に父の郭炳湘(ウォルター・クォック)が68歳で死去した後、新鴻基地産発展(サンフンカイ・プロパティーズ)と帝国集団(エンパイア・グループ・ホールディングス)の株式を相続した。ジョナサンは現在、兄とともに帝国集団を経営し、香港で最も若い億万長者となっている。

マーク・マテシッツ(31歳、オーストリア)/396億ドル(約6兆1000億円)

1984年にレッドブルを創業した父ディートリヒ・マテシッツが2022年に死去した際、レッドブルの49%を相続した。父親が亡くなる前、マテシッツはレッドブルのオーガニック部門を経営していたが、「同じ会社の従業員と株主を兼任すべきではない」という理由で辞任している。レッドブルは昨年116億ドル(約1兆7000億円)の売上を上げ、121億個のドリンクを販売した。

ベン・フランシス*(31歳、英国)/13億ドル(約2012億円)

ピザハットの配達の仕事をしていた19歳の大学生のとき、彼は友人のルイス・モーガンといっしょにGymSharkと呼ばれるウェブサイトを立ち上げた。その後、フランシスの両親のガレージでフィットネスウェアの縫製とスクリーンプリントを手がけるようになり、誰もが知るスポーツウェアブランドが誕生した。モーガンは2020年、プライベートエクイティのゼネラル・アトランティックに株式を売却したが、フランシスは現在もGymSharkの70%を所有し、CEOを務めている。

アンディ・ファン*(31歳、米国)/12億ドル(約1858億円)

スタンフォード大学の新入生だったスタンリー・タンと、MBA(経営学修士)の学生だったトニー・シューと組んでDoorDash(ドアダッシュ)を立ち上げた。彼らはスタンフォード在学中の2013年に会社を設立し、2020年に株式を公開した。ファンは現在、ドアダッシュのCTOを務めている。

ミハエル・ストルナド(31歳、チェコ)/44億ドル(約6812億円)

彼の父親は小さな町のスクラップヤード経営者で、冷戦終結時に旧ソ連の装備品の改修からスタートした。彼はこの事業を売上高32億ドル(約4954億円)の防衛関連企業チェコスロバキア・グループへと発展させた。2018年より同社のオーナー兼CEOに就任している。アート、スポーツカー、クラシックカーの収集家でもある。

パルマー・ラッキー*(31歳、米国)/23億ドル(約3561億円)

パルマー・ラッキーは、プログラミングを独学で学んだあと、VRスタートアップのOculus VRを立ち上げ、彼が16歳のときに作ったVRヘッドセットで富を築いた。2017年、彼は防衛技術企業のAnduril(アンドゥリル)を設立し、ウクライナ戦争でも使用されたドローンなどを提供している。2022年12月の資金調達ラウンドで、アンドゥリルの評価額は85億ドル(約1兆3000億円)に達した。

スタンリー・タン*(31歳、米国)/12億ドル(約1858億円)

ドアダッシュの共同創業者であるスタンリー・タンは、先述のアンディ・ファンとともに、大幅な赤字で株価が急落した2022年の苦境を乗り越え、今年再び億万長者の仲間入りを果たした。ドアダッシュは2023年に大規模なレイオフを実施し、その後売上高を31%増の86億ドル(約1兆3000億円)、純損失を59%減の5億5800万ドル(約864億円)と2022年比で縮小させた。これを市場は好感し、 ドアダッシュの株価は前年比127%上昇した。現在、タンは同社のロボット/オートメーション部門であるDoorDash Labsを率いている。
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翻訳=江津拓哉

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