欧州連合(EU)のデジタルサービス法(DSA)に基づくTikTokへの調査は、2月の未成年者保護とデザインの中毒性に関する調査に続く、今年2回目のものとなる。
欧州委員会のマルグレーテ・ベステアー執行副委員長は、「短くてテンポの速い動画のエンドレスなストリームは、楽しいと思われるかもしれないが、子どもたちを中毒や不安、うつ病、摂食障害、注意力の低下などのリスクにさらすことにもなる」と述べた。
「我々のTikTokに対する最初のDSAコンプライアンス違反事例がまだ調査中であるにもかかわらず、同社はTikTok Liteを立ち上げ、余分なスクリーン使用時間に金銭的な報酬を与えている。我々は、このサービスの『Lite』という表記がタバコのライトと同じくらい有害で中毒性があるのではないかと疑っている」とベステアー執行副委員長は付け加えた。
DSAの下で、「超大規模オンラインプラットフォーム(VLOP)」に指定された企業は、新機能を開始する前に、リスク評価報告書を提出することが義務付けられている。しかし、ユーザーがTikTok上での特定のタスクの実行によってポイントを獲得できるTikTok Liteの「タスク・アンド・リワード」プログラムは、このリスク評価を受けていない。
また、TikTokには効果的な年齢確認メカニズムが「存在しない疑いがある」ことから、特に子供に対する懸念があると欧州委員会は述べている。
「欧州委員会は、TikTokに対し、同社のプラットフォームにおける潜在的リスクからユーザーをどのように保護しているかについて、評価書を提出し、より多くの情報を提供するよう求めるコンプライアンス案件を開始した」とベステアー執行副委員長は述べている。
欧州委員会はTikTokに対し、4月18日までにTikTok Liteのリスク評価報告書を提出するとともに、これらの新機能がもたらす潜在的なリスクを軽減するために講じた措置に関する情報を提供するよう求めていた。しかし、TikTokはこの期限を守らなかったという。
報酬プログラムを停止へ
そのためTikTokは、リスク評価報告書を30日までに提出し、その他の情報を5月3日までに提供するよう求められている。提出しなかった場合、同社は年間総収入または全世界の売上高の1%を上限とする制裁金に加え、1日当たりの平均収入または全世界の年間売上高の5%を上限とする定期的な制裁金を科される可能性がある。欧州委員会はまた、当面の間、EU域内におけるTikTok Liteのリワードプログラムを停止させる計画という。
欧州委員会のティエリ・ブルトン域内市場担当委員は、「TikTokがその安全性について説得力のある証拠を提示しない限り、我々は、中毒を引き起こす可能性があると思われるTikTok Liteの機能の停止を含む、DSAの暫定措置を発動する用意がある」と述べている。
一方、TikTok側は、TikTok Liteのタスクや特典にアクセスできるのは、写真付き身分証明書やクレジットカードの認証などを通じて年齢確認をおこなった18歳以上のユーザーのみだとしている。「TikTok Liteのリワードハブは18歳未満は利用できず、ビデオ視聴タスクには1日あたりの制限がある。我々は引き続き欧州委員会と協議していく」と、TikTokは述べている。
(forbes.com 原文)