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2024.04.25 09:30

ビリオネア続出の中国ミルクティー業界、早くも「賞味期限切れ」か

Getty Images

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中国のミルクティー業界は、複数のビリオネアを生み出したが、彼らは過度の競争により富を維持するのに苦戦している。
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四川省の成都市に本社を置くミルクティーチェーン、茶百道(ChaPanda)会長の王霄錕(ワン・シャオクン)は米国時間4月23日、新規株式公開(IPO)直後の株価の下落によって、ビリオネアの地位を失った。同社は、売上高で中国3位の茶飲料チェーンだが、香港市場での取引初日に株価は38%も急落した。茶百道は1億4780万株を1株17.5香港ドルで売り出し、26億香港ドル(約510億円)を調達した。

41歳の王の資産は、IPO価格に基づく持ち株の価値で14億ドルに達していたが、株価の急落を受けて9億6000万ドル(約1490億円)に減少した。

同社の株価はやや反発したが、投資家とアナリストは今後の見通しを悲観している。香港のキングストン・セキュリティーズのディッキー・ウォンは「明らかに、私が選ぶセクターではない」と述べている。
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ウォンが最も懸念しているのは、熾烈な競争と顧客ロイヤリティの欠如だ。茶百道は、競合で同じく香港市場でのIPOを申請中の蜜雪冰城(Mixue Bingcheng)や既に香港市場に上場している奈雪の茶(Nayuki)と同様に紅茶とフルーツ、ミルク、タピオカボールなどをミックスしたドリンクを提供している。

これらのドリンクは、中国の若者に人気が高く、茶百道と蜜雪冰城は、少なくとも今のところはまだ成長している。茶百道の昨年の売上高は前年比34.8%増の57億元(7億8800万ドル)だった。株主に帰属する利益は11.4億元で、2022年から20%増加した。

しかし、1杯が2~3ドルの飲料に対する顧客の忠誠心はほとんどなく、ウォンはこれらの企業の将来性を楽観していない。「ティーンエイジャーの多くは、特定のミルクティーチェーンに忠誠心を持っていないからです。彼らは今日このブランドが好きでも、明日にはもう店に来ないかもしれません」

茶百道は、フォーブスのコメント要請に返答しなかった。同社の株式市場での失敗は奈雪の茶と似ているように見える。2021年に、バブルティーのチェーン店としては初のIPOで50.9億香港ドルを調達した奈雪の茶の株価は、取引初日に10%以上下落し、現在までに90%近く下落している。2014年に創業した奈雪の茶の共同創業者の彭心(ペン・シン)と趙林(ジャオ・リン)の夫妻は、IPOの2カ月後にフォーブスの世界の富豪ランキングから脱落した。

競合の蜜雪冰城もコスト高で苦戦

一方、フォーブスは、3万6000店舗を展開する中国最大のバブルティーチェーン、蜜雪冰城を共同創業した兄弟の張紅超(チャン・ホンチャオ)と張紅甫(チャン・ホンフー)のそれぞれの保有資産を、1月の12億ドルから9億8000万ドルに減少したと推測している。1月時点では29億ドル(約4493億円)と評価されていた蜜雪冰城は、茶百道と同様のフランチャイズモデルを採用しており、店舗に食材や設備を提供することから収益を上げている。

香港を拠点とするエバーブライト・セキュリティの証券ストラテジストのケニー・エンは、今後の成長がもしあるとすれば、より多くの店舗を出店するかどうかにかかっていると語る。しかし、コストの上昇と店舗の立地をめぐる熾烈な競争の中で、投資家はこのセクターにもはや熱狂的ではないと指摘した。
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編集=上田裕資

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