「テック企業には、法執行機関や司法当局が業務を遂行するための環境を整備する社会的責任がある。警察が証拠を収集する能力を失えば、私たちの社会は犯罪被害者を守れなくなる」と彼らは述べている。
この声明で、彼らは特に子どもたちに性的関心を持ち、性的虐待画像を交換し、性犯罪を犯そうとする者たちを懸念していると述べている。また、テロや人身売買、麻薬の密輸、殺人、経済犯罪などをその他の懸念事項に挙げている。
フェイスブックの親会社のメタは、メッセンジャーのプラットフォーム全体にエンド・ツー・エンドの暗号化を実装するという決定を下したことで、各国当局から特に問題視されている。
英国の国家犯罪対策庁(NCA)によると、メタからの報告によって、同庁と英国警察は毎月約1200人の子どもを保護し、約800人の容疑者を逮捕しているという。しかし、暗号化の導入により、英国警察と共有されているフェイスブックからの報告の92%とインスタグラムからの報告の85%が、失われることになるという。
「暗号化の導入には、さまざまな犯罪からユーザーを守る効果が期待できる。しかし、ハイテク大手による、公共の安全に対する十分な配慮を欠いたエンド・ツー・エンドの暗号化の拡大は、ユーザーを危険にさらしている」とNCA事務局長のグレーム・ビガーは述べている。
「ハイテク企業が自社のシステム上の違法行為を確認できなくなれば、顧客を守ることが不可能になる。児童の虐待は、企業が監視をやめることを選択したからといって、止まるものではない」とビガーは主張している。
この宣言は、先日NCAが主催した欧州警察長官の非公式会合での合意を受けたもので、英国とノルウェー、スイス、アイスランド、リヒテンシュタインなどのEU加盟27カ国が批准している。
メタの主張は?
メタは、暗号化された環境においても、暗号化されていない環境においても、若者を保護するために「数えきれないほどの手段」を講じていると述べている。「圧倒的多数の英国人はすでに、ハッカーや詐欺師、犯罪者から安全を守るために暗号化を導入したアプリを利用しています。ユーザーは私たちにプライベートなメッセージを読まれることを望んでいないと当社は考えています。そのため、当社は、過去5年間を通じてセキュリティを維持しながら、不正使用を防止、検出、撲滅するための強固な安全対策を開発してきました」とメタの広報担当者は述べている。
「当社は最近、19歳以上のユーザーが、フォロー外の10代の若者にメッセージを送ることを制限したり、テクノロジーを使って悪質な行為を特定し、対策を講じたりするなどの対策を定めた最新の報告書を開示しました。エンド・ツー・エンドの暗号化を展開する中で、我々は人々の安全を守るための業界をリードする取り組みに関して、同業他社よりも多くのレポートを法執行機関に提供し続けるつもりです」と、メタは述べている。
(forbes.com 原文)