メタはなぜ、いまHorizon OSを強化するのか? アップルなどライバルに対抗するための戦略、デベロッパ向け開発ツールに生成AIを活用する計画など、米メタのマーク・ラブキン氏が日本のジャーナリストによるグループインタビューに応じて語った。
OSのオープン化は「ユーザーがしたいこと」をより多く実現するため
メタはAndroidオープンソー プロジェクトというモバイル向けの基盤からHorizon OSを開発した。これまでは開発環境を外部に公開してこなかったが、なぜ今、オープン化することに決めたのか。最高経営責任者であるマーク・ザッカーバーグ氏が4月22日に更新したインスタグラムの動画投稿の中で説明している。ザッカーバーグ氏は、コンピューティングの歴史にはオープンとクローズド、2種類のプラットフォームモデルが従来からあったとして、スマートフォンではアップルのiOSといったクローズドなプラットフォームが成功したと振り返る。だが続けて、MR/VR対応のヘッドセットやスマートグラスを活用する、次世代の空間コンピューティングの発展には「開かれたプラットフォームが欠かせない」とも語っている。
その理由はいよいよMeta Questシリーズに注目が集まり、さまざまなコンテンツや体験が求めらているからだ。ザッカーバーグ氏は特に言及していないが、アップルが独自のクローズドなプラットフォームであるvisionOSと、搭載するデバイスのApple Vision Proを発売したこともメタの競争意識を呼び起こしたのだろう。
2014年にメタの前身であるフェイスブックがOculus VRを買収してから、今年で10年になる。メタのラブキン氏は、以来ザッカーバーグ氏の理念を社員が共有しながら、メタバースの発展に向けてコミットしてきたと振り返る。
特に昨年、最新モデルのMeta Quest 3を発売してから「複合現実(MR)の新世代が幕を開け、市場が急速に拡大する機運」をラブキン氏も感じているという。メタバース市場をさらに活性化するために必要なテクノロジーは既にある。あとはHorizon OSの成長をさらに押し進めて、「ユーザーがしたいことを実現できる環境」を整えることが急務なのだとラブキン氏は強調する。