欧州

2024.04.24

世界最古の軍艦「コムーナ」、また生き延びたか ウクライナのミサイル攻撃は続く

2021年10月、キーウで催された兵器見本市で展示されたウクライナのネプチューン巡航ミサイル(Oleksiichik / Shutterstock.com)

ロシアの潜水艦救難艦「コムーナ」は幸運な軍艦だ。1913年に進水したこの老艦は、ロシア帝国海軍、ソビエト連邦海軍、ロシア連邦海軍と3つの海軍で就役し、2度の世界大戦を生き延びた。

そしてこの週末、コムーナはまたしても修羅場をくぐり抜けた。21日、ロシア占領下クリミアのセバストポリに停泊中、ウクライナ軍のミサイル攻撃を受けたが、大きな損傷は免れたようだ。

攻撃後の衛星写真では、コムーナの艦体や甲板、上部構造にひと目でわかるような大きな損傷は認められない。もし何らかの深刻な損傷を受けたとすれば艦の内部ということになるが、確認するのは不可能だ。

とはいえ、ロシア海軍の軍人たちは自分たちも、そして齢111を数えるこの歴史的な軍艦も、安全とは考えないほうがいいだろう。ウクライナ側は今回の攻撃に国産の最新巡航ミサイル「ネプチューン(ウクライナ語の発音に即せばネプトゥーン)」を用いた可能性がある。この地上発射型ミサイルは今後もどんどん発射されることが見込まれる。

ロシアがウクライナで拡大して2年2カ月たつ戦争で、ウクライナ側はミサイルや水上ドローン(無人艇)、破壊工作などによってロシア海軍の黒海艦隊をたびたび攻撃し、大型艦十数隻や艦隊を支える航空基地、防空システム、指揮所などを破壊したり、損傷を与えたりしてきた。目標となった場所はセバストポリに限らず、クリミアのほかの複数の港や、さらにはロシア南部も含まれる。

黒海艦隊に対するミサイル攻撃で主に使われているのが、旧ソ連のKh-35対艦ミサイルをベースにウクライナで新たに開発されたネプチューンである。ウクライナの産業界はかつてKh-35をソ連の艦隊向けに製造していた。

ロシアがウクライナに対する戦争を拡大した2022年2月時点では、ネプチューンはまだ試作段階にすぎなかった。その後、急いで実戦配備にこぎ着け、最初の運用部隊(トラック搭載型の4連装発射機、指揮車、ミサイル48発の輸送・再装填用車両などを配備されているとされる)は同年4月、怒りをこめて最初の一撃を放ち、ウクライナ沖100kmほどまで出てきていた黒海艦隊の旗艦「モスクワ」を沈める大きな戦果をあげた。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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