アップル 「スマート・ホーム」で競合のNest社を追放

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アップルはスマート・ホームデバイスのNest社の製品の販売を停止した。現在、アップルストアのウェブサイトで“Nest”という単語を入力すると、検索候補として同社の2つの製品が表示されるが、サーチボタンを押すと製品は表示されない。筆者がサンフランシスコのアップルストアの店員に尋ねたところ「Nestの製品はもう販売していない」との回答を得た。

アップルはNest社のサーモスタットの代わりに「ecobee3」の販売を開始したようだ。ecobee3はアップルのスマー・トホーム規格であるHomeKitに準拠している製品だ。

アップルは長い間、Nest社を支援してきた。Nestが最初の学習サーモスタットを2012年に立ち上げた時から、同社の製品を店頭に並べてきた。Nestの従業員の多くはアップル出身であり、CEOのトニー・ファデルはiPodの開発責任者を務めた人物としても知られている

アップルがNestを買収するとの予測もあった。しかし、2014年1月にグーグルがNestを32億ドル(約4000億円)のキャッシュで買収した。

ネット接続された家庭用品(コネクテッド・デバイス)市場は、アップルとグーグルがしのぎをけずる場だ。昨年6月の開発者会議でアップルはこの分野の標準規格となるHomeKitをリリースした。これは、照明やサーモスタット、ドアの鍵などをiOSを通して操作可能にするプラットフォームだ。

その後、1年が経過したが、現状では5つの企業しかHomeKit向けのデバイスをリリースできていない。ecobee3のサーモスタットはその限られた製品の一つだ。

アップルがライバル社の製品を棚から追放することは珍しくはない。Apple Watchがローンチされた時は、他社のウェアラブル製品、JawBoneやNikeのリストバンドの販売が停止された。

筆者はこの件に関してNest社とアップルの双方にコメントを求めたが、回答は得られなかった。

文=アーロン・ティリー(Forbes)/ 編集=上田裕資

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