タウタンパク質は脳の神経ネットワーク構築に欠かせない要素だが、リン酸化によって凝集して沈着(タウオパチー)することで毒性化し、脳細胞を殺して、脳を萎縮させる。そのリン酸化を媒介する酵素としてMARK4が知られているが、研究チームはMARK4を欠損させたマウスではタウオパチーが減少することを確認した。
タウオパチーのあるマウスは、認知機能の低下を起こし、早死にしてしまう。それを、MARK4を作る遺伝子を持たないマウスと掛け合わせ、MARK4欠損マウスを作った。すると、MARK4欠損マウスはMARK4を持つマウスと比べてリン酸化タウが少なく、認知症状や寿命に改善が見られた。またMARK4欠損マウスは、タウを発生させても多くの脳細胞が維持され、さらにアルツハイマー病の原因のひとつであるグリア細胞の活性化も抑えられていた。
MAKR4欠損マウスは正常に発育していて、MARK4が欠損していても大きな副作用はないことが示唆されるという。したがって、MARK4を阻害する薬ができれば、アルツハイマー病やタウオパチーによるその他の疾患の根本的な治療が期待できるということだ。
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