米国務省の委員会は、ネツァ・イェフダ大隊が国際的な人権法に違反しているとして、同部隊に制裁を科す見通しであることを先週末に複数の報道機関が報じた。同省は、人権を著しく侵害している個人や治安部隊への軍事支援を禁止するリーヒー法と呼ばれる法律に基づき、同部隊に制裁を科す可能性がある。
米下院は20日に260億ドル(約4兆円)のイスラエルへの支援を含む、ウクライナ、イスラエル、台湾の安全保障支援を目的とした950億ドル規模の法案パッケージを超党派で可決していた。
ロイター通信によると、イスラエルの戦時内閣メンバーのガンツ前国防相は21日の声明で、ブリンケン米国防長官にこの問題を再考するよう求めたと明らかにした。同氏は以前、ネツァ・イェフダ大隊は国際法を完全に遵守したイスラエル国防軍(IDF)の一部だと述べていた。
ネタニヤフ首相は20日のX(旧ツイッター)への投稿で、イスラエル国民に対する制裁の可能性について米高官と協議していると述べ、「兵士たちがテロの怪物と戦っているときに、IDFの部隊に制裁を科す方針だというのは不条理の極みであり、モラルが低い」と付け加えた。
「ネツァ・イェフダ大隊」とは何か?
ネツァ・イェフダ大隊は、ほとんどがユダヤ教超正統派の男性兵士で構成される部隊で、ヨルダン川西岸のパレスチナ人に対する暴力に加担しているとされ、2022年に78歳のパレスチナ系米国人のオマル・アサドを殺害していた。ネツァ・イェフダ大隊は、2022年にヨルダン川西岸から移され、ゴラン高原に駐留している。米国務省は他の軍や警察部隊にもリーヒー法の適用を検討していると、イスラエルのメディアは報じている。
米国の非営利の報道組織プロパブリカは先週、国務省の特別委員会であるイスラエル・リーヒー・ベッティング・フォーラムが、国務省に対し、複数のイスラエル軍の部隊や警察が米国の軍事支援を受けるのを阻止するためにリーヒー法を適用するよう勧告したと報じた。同フォーラムは主に、10月7日にガザでハマスとの戦争が勃発する以前に起きた事件を中心に調査を行っていたが、プロパブリカの記事によると、その調査結果は数カ月前にブリンケン国務長官に届けられたという。しかし、それ以来、その調査結果は、「彼のブリーフケースの中に眠っていた」と匿名の関係者が証言したという。
ブリンケン国務長官は、19日に制裁の可能性について「決定」したと述べた。関係者がAP通信に語ったところによると、国務省は早ければ22日にも制裁を発動する可能性があるという。
(forbes.com 原文)