ウクライナ側が現在、月に10万機のペースで投入しているFPVドローンは、一種の急場しのぎのものだ。ソーシャルメディアで「Kriegsforscher(クリークスフォルシャー)」というアカウント名で活動するウクライナ軍のドローン操縦士は、大量のFPVドローンを使っているのは迫撃砲などの大砲の砲弾や対戦車ミサイル、対戦車地雷が不足しているためだと説明している。
こうした弾薬不足は、米議会の共和党の一派が昨年10月から、ウクライナへの追加援助を妨害し始めた必然的な結果である。だが、米下院で20日、610億ドル(約9兆4000億円)規模の追加支援法案がようやく採決されたことで、妨害は終わった。
つまり、ウクライナ軍の弾薬不足も終わろうとしている。地雷原を掘り進むロシア軍の亀戦車は、小さなドローンが最大の脅威である間は、そこそこ生き延びられるかもしれない。しかし、ウクライナ側がミサイルや大砲をもっと撃ち始めたらどうだろうか。
オーストラリア陸軍退役少将のミック・ライアンは、亀戦車を「ウクライナでの『適応戦』の実にけったいな展開のひとつ」と評している。とはいえ、この適応によってロシア軍が何らかのメリットを享受できたとしても、「おそらく一時的なものにとどまるだろう」というのがライアンの見立てだ。
(forbes.com 原文)