欧州

2024.04.22 10:00

ロシア軍の「亀戦車」、実は地雷除去車両だった? 専門家が新説

ロシア軍には米軍のABVと同等のブリーチャーはない。ロシア軍のIMR工兵車両は、ぬかるみにはまった車両の吊り上げや遺棄された車両の牽引など、レッカー用途に使われることが多い。重量は50t程度で、ABVと比べると防御力も劣り、クレーンもかさばる。

ウクライナ側の地雷原や小さなFPV(一人称視点)ドローンの大群に直面し、専用のブリーチャーもないため、第5旅団の工兵らはブリーチャーを自作することにしたのだろう。少なくとも、モスはそう推測している。

彼らは古いT-72を入手し、ブリーチャーに必要な2つの装備である追加装甲と地雷除去器具を取り付けたと考えられる。また、砲塔がそもそもろくに回らないT-72を選んで改造したのかもしれない。

亀戦車のトレードマークである追加装甲のほうは、あるのが見てすぐわかるが、プラウなどの地雷除去器具がすべての亀戦車に装備されているのかは、もう少し確認しづらい。

米国のシンクタンク、外交政策研究所のアナリストであるロブ・リーは、16日にクラスノホリウカへの攻撃を先導した3両目の亀戦車に、マインローラーらしきものが装備されているのを見つけている。マインローラーは、車両本体の少し前で地雷を起爆させる頑丈な車輪セットだ。

ドローン対策のジャマー(電波妨害装置)を甲羅に張り付けた最初のタイプでもあったこの亀戦車は、「複数の地雷を踏んだあとも前進を続けている」とリーは指摘している

この亀戦車の装備や行動は、モスの「亀戦車=ブリーチャー説」を裏づけているように見える。もしそうだとすれば、亀戦車はブリーチャーとしての役割はしっかり果たしていると言えるかもしれない。

地雷原の啓開は非常に危険な任務だ。実際、ウクライナ側はわずか6両かそこらしかないABVのうち、少なくとも2両を、2月半ばに失陥したアウジーウカ北西のベルディチ方面の激しい戦闘で失っている。一方、亀戦車のほうは、これまで破壊されたのは、8日の戦闘後、基地に帰還していたところを、砲撃を食らって粉砕された1両にとどまっている。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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