昨年は旅行業界が活況を呈したため、利用者数の増加自体は驚くべきことではない。世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)によると、昨年の世界全体の観光収入は10兆ドル(約1546兆円)近くに上った。これは世界全体の国内総生産(GDP)の9.1%に相当する。さらに注目すべきは、人気観光地が変化していることで、利用者数の多い空港の順位にも動きが見られたことだ。
ACIが世界180以上の国と地域にある2600カ所以上の空港のデータを集計した結果、昨年世界で最も利用者の多かった空港は、米アトランタのハーツフィールド・ジャクソン国際空港だった。同空港は過去20年以上にわたって1位を維持している。米国からは他にも4つの空港が上位10位以内に入った。ダラス・フォートワース国際空港は前年から1つ順位を下げて3位、デンバー国際空港は3つ順位を下げて6位、ロサンゼルス国際空港は2つ順位を下げて8位、シカゴ・オヘア国際空港は5つ順位を下げて9位となった。
米国以外では、観光情勢の変化を反映した入れ替わりが見られた。ACIのルイス・フェリペ・デオリベイラ事務局長は、昨年は特に中東とアジアで海外からの旅行客が増えたと強調。アラブ首長国連邦(UAE)のドバイ国際空港が初めて2位に躍進し、東京羽田国際空港が前年の16位から昨年は5位へと目覚ましい上昇を遂げた。トルコ・イスタンブールとインド・デリーの両空港は、新型コロナウイルス流行前の2019年と比較しても旅客数が大幅に伸び、上位を維持した。