スポーツ

2024.04.21 09:00

パリ五輪、水泳競技の一部変更も? セーヌ川の水質改善進まず

フランスの首都パリを流れるセーヌ川(Getty Images)

フランスの首都パリを流れるセーヌ川(Getty Images)

パリ五輪の開催が数カ月後に迫る中、現時点でもセーヌ川の汚染が十分に改善されていないとの報告もあり、同大会の水泳競技の一部が中止または変更される可能性がささやかれている。
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国際環境団体サーフライダー・ファウンデーション・ヨーロッパは昨年9月から今年3月にかけて、五輪の水泳競技であるトライアスロンとマラソンスイミングの開始地点を含む、セーヌ川の2つの地点から採取した水のサンプルについて14回の検査を行ったが、いずれも欧州連合(EU)が定める基準を満たしていなかったと報告した。人間のふん便に含まれる大腸菌や大便連鎖球菌などの細菌が基準値以内だったのは1カ所だけだった。

大会組織委員会のトニー・エスタンゲ会長は今月上旬、五輪競技でセーヌ川を使用することは可能だと確信しているとしながらも、大雨が降った場合など、川の水の大腸菌レベルが上昇すれば「遊泳不可という最終的な決定」もあり得るとしていた。米紙ニューヨーク・タイムズの取材に応じたパリのピエール・ラバダン副市長は、もし大会直前の1週間にわたって雨が降り続けるようなことがあれば、セーヌ川の水質は「最高の水準には達しないかもしれない」との見方を示した。

国際オリンピック委員会(IOC)は米NBCニュースに、セーヌ川の汚染が許容範囲を超えた場合、トライアスロンは中止されるか、同競技から水泳を除いたデュアスロンに変更される可能性があると説明した。
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一方、2021年に開催された東京五輪のマラソンスイミング女子10キロで金メダルを獲得したブラジルのアナ・マルセラ・クーニャは仏AFP通信に、セーヌ川の汚染について「懸念がある」と語った。その上で、そもそもセーヌ川は「泳ぐために作られた川ではない」と指摘。大会関係者は、セーヌ川で遊泳ができない場合の代替案を用意しておくべきだと訴えた。

水質浄化に向けた市の取り組みを紹介するため、フランスのエマニュエル・マクロン大統領とパリのアンヌ・イダルゴ市長は自らセーヌ川で泳ぐと表明している。マクロン大統領は、セーヌ川が五輪競技で使用されることは「重要な遺産」になるとしている。

パリ市は下水道や雨水処理施設の改修など、セーヌ川の浄化計画に14億ユーロ(約2300億円)もの資金を投じてきた。

だが、世界水泳連盟は昨年、選手の健康を守る上で、セーヌ川の水質が許容基準を下回っているとして、パリで開催される予定だったオープンウォーターのワールドカップを中止した。同連盟は、五輪の危機管理体制を強化するためには一層の努力が必要だと指摘した。

英BBCによると、セーヌ川では1923年に水質が安全でないと判断されて以降、遊泳が禁止されている。パリの排水設備は単管式のため、大雨が降ると過飽和状態になり、余分な水が河川に排出される。パリ市当局は、下水道や衛生設備の改修・清掃を進め、来年までに3カ所の屋外水泳施設を開設したいとしている。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

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