収入が増えるにつれて支出が増える傾向にある「ライフスタイルインフレ」は特段目新しいものではない。だが、米資産管理会社 グリーンリーフ・トラストのシニアバイスプレジデントで資産管理ディレクターのジェームス・カリーは、SNSがライフスタイルインフレの誘惑に陥りやすくしていると説明する。
「私たちはSNSで常に他人の華やかな生活を目にしている。プラットフォームをスクロールすると、贅沢な休暇やデザイナーの服が並んだワードローブ、豪華な食事など、入念に厳選されたリッチな暮らしぶりのスナップ写真がフィードに溢れている」とカリーはいう。こうした写真を目にすることで、富についての認識が非現実的で誇張されたもの、そして不正確なものになる。SNSの過度な利用で、無意識のうちにネットで目にするものと同じような体験を求めて金を使うようになるとカリーは考えている。
「SNSが作り出した『盛られた』基準に合うような暮らしぶりを維持しようとすると、結果として借金を抱える。非現実的な基準に合わせて暮らすという圧力が、人を借金の罠に追い込む」とカリー。長く続けられない暮らしぶりを維持するために高金利のクレジットカードやローンに手を伸ばし、経済的に立ち行かなくなったり将来の目標を台無しにすることが多いとも指摘する。
SNSがもたらすこのような罠や経済負荷を避けるために、金銭面での明確な目標を設定し、長期的な目標を犠牲にすることなく短期的な楽しみとのバランスを取ることをカリーは勧める。
ライフスタイルインフレの危険性に加え、SNSは大量の金融コンテンツやアドバイスという脅威も与える場でもある。フォーブス・アドバイザーの委託で市場調査会社プロリフィックが実施した最近の調査によると、ミレニアル世代またはZ世代の米国人の79%がSNSから金銭面での助言を得たことがあると回答している。