1990年代に製造された古いタイプのATACMSであるM39の最初の供与分は、昨年秋、米国の支援が滞り始める少し前にウクライナに届けられていた。その時の数量も20発かそこらにすぎなかったから、3月の小規模な追加援助での供与分はおそらくもっと少なかっただろう。届いたのはせいぜい8発で、MLRSの小隊はそれを一気にすべて発射した可能性もある。
もしそうだったのだとしても、ウクライナ側が主張しているような大きな損害を与えられたのだとすれば、見合う結果になったと言えそうだ。いずれにせよウクライナ側は、ATACMSをさらに追加で得られる公算が非常に大きくなって安心しているに違いない。もしかするとATACMSを大量に取得できるかもしれない。
ウクライナ向けの兵器やその他の援助に年末まで610億ドル(約9兆4000億円)を支出するというバイデンの予算法案を、マイク・ジョンソン下院議長がようやく採決にかけるからだ。長らく延期され、ロシアに融和的な共和党議員の一派がなお強硬に反対している採決は20日に行われ、賛成多数で可決される見込みだ。
法案のある条項ではバイデン政権側に、ウクライナにATACMSを追加供与することも求めている。米国にはATACMSの在庫が数百発あり、その固形燃料は期限切れが迫っている。この週末の採決後、ホワイトハウスが在庫をすべてウクライナに送らない理由はない。
そして、ウクライナ軍が届いたATACMSを、前線から160km内にあるロシア軍の基地に撃ち込まない理由もない。
(forbes.com 原文)