欧州

2024.04.20 10:30

ロシア軍のTu-22戦略爆撃機を初撃墜 ウクライナ、都市空襲の「テロ兵器」に反撃

安井克至
情報総局によると、今回の攻撃に使われた手段は、以前にロシア空軍のベリエフA-50早期警戒管制機を撃墜したものと同じだったという。おそらく、射程およそ145kmの米国製パトリオット地対空ミサイルシステムか、同240kmほどの旧ソ連製S-200地対空ミサイルシステムのどちらかということだろう(編集注:情報総局は「ウクライナからおよそ300km離れた地点で撃墜された」としている)。

可能性が高いのはS-200のほうだろう。というのも、ウクライナ空軍は先週時点でパトリオットのミサイルが枯渇していたからだ。パトリオットのミサイル不足は深刻で、4月11日にはロシア軍によるミサイル一斉攻撃を阻めずキーウ州で最も重要な発電所を破壊された。ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は「ミサイルを使い果たした」と米公共放送PBSのテレビ番組で語っている。

米国防総省の国防契約管理局(DCMA)の品質監査官を務めたトレント・テレンコは、ウクライナ軍がS-200用に使っているとされる重量8tの5V28ミサイルを「とても重くて広々としたシーカー(目標の探知・追尾装置)スペースを備えた、バカでかいミサイル」と評している。5V28は重量220kgほどの巨大な弾頭を搭載し、Tu-22M3のような超大型機にも大きな損害を与えることができる。

いずれにせよ、ミサイルはTu-22M3に命中したものの、その時は損傷させただけだったようだ。機体はその後も飛行を続け、最終的に、ウクライナの前線から480kmほど離れたロシア南部スタブロポリ市付近で、炎に包まれながら墜落したとされる。搭乗員が脱出できたのかどうかは不明だ。

ロシア空軍はTu-22M3を数十機保有している。一方、ウクライナ空軍は西側製の新しい地対空ミサイルは不足しているが、古いS-200用のミサイルなら何百発も保有している可能性がある。ウクライナの前線から240km内に近づいてくるロシア軍の大型機は、迎撃されるリスクがあるということが次第に明らかになりつつある。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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