同協会の月次報告書によると、3月の米国の中古住宅販売件数は419万戸(季節調整済み、年率換算)と、前月から4.3%減少。また、前年同月比では3.7%の減少だった。
住宅価格が9カ月連続で上昇する中、月あたりの販売戸数は昨年12月以降で初めて前月を下回った。3月の平均住宅価格は39万3500ドル(約6000万円)で、2023年3月の平均価格(37万5300ドル)から4.8%上昇した。
NARのチーフエコノミストであるローレンス・ユンは、報告書の中で雇用者数の増加は、パンデミック前の最高値と比較すると、市場に住宅購入希望者が増えていることを示唆しているが、3月末時点の総売れ残り在庫(111万戸)は前月から4.7%増加し、1年前からは14.4%増加したと指摘した。
3月の住宅販売件数は、米北東部では2023年11月以来の増加となったが、他の米国主要3地域の中西部(2月比で1.9%減)、西部(同8.2%減)、南部(同5.9%減)では減少した。
住宅販売は、価格の高騰のみならず金利の上昇の影響も受けており、フレディマックによると、11日現在の30年固定住宅ローンの平均金利は6.88%と、1年前の6.27%や2021年4月の3.13%から上昇している。
「住宅販売は基本的に行き詰まっている」とユンは記者団に語った。
ここで注目すべきは金利がいつ下がるかだ。米連邦準備制度理事会(FRB)はインフレを食い止めるため、数十年ぶりの高水準まで金利を引き上げた。FRBのジェファーソン副議長は16日、中央銀行は今後もインフレを抑制するために政策金利を維持し続けるだろうと述べた。つまり、住宅ローン金利が劇的に下がることは当面なさそうだ。
住宅の在庫は少なく高価に
価格の上昇や高金利、さらには景気の不透明感によって、当初は住宅市場の年内の暴落を警戒する声も上がったが、専門家はその可能性は低いと考えている。エコノミストは、その代わりに2024年も平凡なフラット・ストレッチが続くと予想している。FRBによるインフレ対策以前の低い住宅ローン金利で住宅を手に入れたオーナーたちは、今の家を売却して新しい家を高い金利で購入する競争に出ることをためらっている。その結果、市場に出ている住宅の在庫が少なく、価格が高くなっており、新たに購入を検討している多くの購入希望者を価格面で締め出している。金利が5%台前半に戻るまで、市場に劇的な変化が起こる可能性は低いと専門家は見ているが、今後の数カ月でそのような変化が起こる見込みはなさそうだ。
NRAは先月、同協会が定めた不動産仲介業者の手数料ルールが、仲介手数料の不当な引き上げにつながったとする一連の反トラスト法訴訟を解決するために4億1800万ドルを支払うことに合意した。同協会は不正行為を否定しているが、和解の中で、今夏から購入者が仲介手数料を直接交渉できるようにすることで合意した。この変更により、購入者は数千ドルの節約になり、住宅価格全体が下がる可能性がある。
(forbes.com 原文)