これを証明するために、神経科学者のバリー・バイエルンスタインは「脳の10%神話」を覆す6つの証拠を提示した。
1. もし私たちが脳の10%しか使っていなければ、残りの90%に外傷性脳損傷が起きても脳の機能に影響しないことになる。現実には、損傷を受けても機能を損なわない脳の部分は事実上存在しない
2. 何をしている時であっても、脳の健康で損傷を受けていないすべての部分は常に活動している。他の部分ほど寄与しない部分もあるかもしれないが、たとえ睡眠中であっても脳のすべての部分が何らかの役割を担っており、そうやって人間が機能することを保証している
3. 脳は膨大な身体資源を使って活動している。もし、脳の90%が必要ないなら、人類はその冗長な領域を取り除いてエネルギー消費を減らし、生き残るチャンスを増やすべく進化したはずだ
4. 脳の特定部分が特定の役割を持つことは研究が示しており、これは脳が均質な集合体ではなく、専門化されたネットワークとして機能していることを意味している。脳の中で何の目的も果たしていない部分は見つかっていない
5. 「個々の」脳細胞の活動をモニターする機器によって、ほとんどの脳細胞が常時活動していることが明らかになっている。いかなる時も、脳の大部分が情報処理に携わっている
6. 機能しなくなった脳細胞は時間と共に死滅していく。もし脳の90%が役に立っていないのなら、解剖結果は常に大規模な神経変性を示すだろう
現実には、私たちの脳のあらゆる部分が役割を担っており、片方の半分が他方を支配していることなどない。だから、もし自称「左脳タイプ」の人や、人間が脳の潜在能力を100%使うとどうなるかを夢見ている人と話すことがあれば、人の心は、そんな還元主義的な神話よりはるかにきめ細かく興味深いものだという真実を思い出してほしい。
(forbes.com 原文)