ロシア軍の防空部隊の指揮官たちも、ロシアがウクライナで拡大して2年3カ月近くたつ戦争では、数カ月前まで、自軍で最も遠距離までカバーできるレーダーであるコンテナについては心配する必要がなかった。ウクライナが保有する兵器では、まったく届かない地点にあると考えてよかったからだ。
だが、ウクライナは外国からの支援も受けつつ、最高のエンジニアと巨額の資金を投じてまったく新しいクラスの長距離攻撃ドローンを開発した。この新型ドローンは今年に入り、ロシア領内に最長1000kmほども侵入し、航空基地や指揮拠点、石油関連施設、その他の戦略産業施設を次々に攻撃してきた。
今月2日、ロシア西部エラブガの施設を狙った攻撃は、これまでで最も遠距離のものの一つだった。A-22少なくとも1機がウクライナとの国境からおよそ1000km先まで飛行し、イランで設計されたシャヘド自爆ドローンを製造する工場の敷地内に突っ込んだ。工場自体か近くの従業員寮が損傷し、14人が負傷したと伝えられている。
自律飛行するこのスポーツ機型ドローンは、ウクライナが保有する15種類かそこらの長距離ドローンのなかでも最高の部類に入る。数百kgの爆薬や長距離飛行用の燃料を十分積めるほど大きく、ベースとなるA-22は1機9万ドル(約1400万円)程度なのでコストも低い。
ウクライナの国産機であるA-22の改造ドローンは、生産を増やしていくことも可能だ。ウクライナの調査分析グループであるコンフリクト・インテリジェンス・チーム(CIT)は、エラブガの攻撃を分析したうえで、シャヘドの工場などを狙った「攻撃は今後も試みられるだろう」と予想していた。
2週間後、爆薬を積んだA-22改造ドローン少なくとも1機が、今度はコンテナに向けて出撃した。