20〜30代を中心に人気を誇るYouTuberであり、今最も「コスメが売れる」ヘア&メイクアップアーティスト、小田切ヒロ。世界中の女性をエンパワーする挑戦は、始まったばかりだ。
小田切ヒロは、ただのYouTuber/ヘア&メイクアップアーティストではない。「美容は社会を動かすベースのひとつ」ととらえ、「沈んだ日本経済を元気にしたい」と活動するアントレプレナーシップをもったクリエイターだ。
2020年8月に本格始動したYouTubeチャンネル「HIRO BEAUTY CHANNEL」は登録者数115万人を突破し、紹介したコスメは棚から消えてしまうほどの影響力をもつようになった。「#ヒロ買い」という言葉も生まれるほどである。
メイクのトレンドと景気には相関関係があるといわれている。経済的に豊かな国はメイクが濃く、停滞している国は薄くなる傾向がある。例えば日本では、1980年代のバブル期に「太い眉毛、鮮やかなブルーアイシャドウ、真っ赤な口紅」という派手でクールなメイクが流行った。しかし、景気が低迷している現在では「すっぴん風メイク」など薄くて柔らかい印象のメイクがトレンドだ。
「メイクアップで女性が華やかになり、自信に満ちあふれて内面から強くなることは、経済や文化が潤うことにつながります。その『潤ったな』っていう感覚を、私が生きている間に感じたいんです」
小田切が提案するメイクは、しっかりと発色がありエッジを利かせたものが多い。「セルフエンパワーメントメイク」「大人の幸せ顔メイク」「千金メイク」などネーミングもユニークだ。トレンドから少し逸れる提案もあるが、「明るくキラキラとした華やかなメイクを楽しんでほしい」という狙いがあってのこと。次第に小田切自身がトレンドセッターとなり、街中には小田切が提案したメイクを楽しむ女性が増えてきた。
小田切はなぜこのような野望をもつに至ったのか──。美容業界に入った動機は、「好き」というまっすぐな気持ちだけだったという。ただ、下積み時代に人一倍の努力を重ねたことでヘアメイクアップアーティストとして大きく飛躍し、視野が広がった。