アート

2024.04.28 13:00

アート市場の専門家が指南する「コレクションの極意」

『How to Collect Art』Magnus Resch著(C)Phaidon

レオナルド・ダ・ビンチの『サルバトール・ムンディ(救世主)』は2017年、4億5000万ドル(当時の為替レートで約505億円)以上の史上最高額で落札された。

この作品はその後、サウジアラビア皇太子が所有するヨットのなかに飾られていると伝えられた。その真贋に関わらず、絵画にそれほどの大金を注ぎ込むことが常識外れでばかげているという考え方を、否定することはできない──。

サウジアラビアの王族から初めて美術品を購入する人まで、非効率で予測不可能な世界のアート市場に参加するために役立つのは、専門家の賢明な助言だ。

世界的なアート・エコノミストであり起業家、エール大学の講師であり、コロンビア大学でも教壇に立ったマグナス・レッシュは、新たに出版した『How to Collect Art(芸術作品を収集する方法)』で、「必要以上の高値で買わないための戦略」を説いている。

また、レッシュは同じ出版社Phaidon (ファイドン)から、2021年に『How To Become A Successful Artist(アーティストとして成功する方法)』、2016年に『Management of Art Galleries(アートギャラリーの経営)』を上梓している。

利益は「追及するもの」ではない?

レッシュはアート作品の購入に関する複雑なコンセプトや可変要素について、奥深いリサーチと知識に基づき、さらに業界用語を避け、消息通の傲慢さをうかがわせることなく、わかりやすく説明している。

アート作品の購入は、単なる物質的価値の交換ではなく慈善的な行動だと考えるレッシュは、「責任ある購入」をしているという。後で買い手が付かない可能性があることも理解しつつ、資産の購入ではなく寄付として、作品を入手する。それは、アーティストやその属するコミュニティーの創作活動の継続を、支援することになるという。

アート作品の取引は盛んだが─

調査会社Statista(スタティスタ)によると、世界のアート市場で2023年に最も多額の取引が行われたのは、米国だった(総取引額の42%を占めた)。次いでその額が多かったのは、中国(19%)、英国(17%)。

また、アート作品の取引に関するデータベースを運用する仏Artpriceによれば、世界のアート市場はかつてないほどに取引が活況で、売買された作品は同年、76万3000点を超えたという。
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編集=木内涼子

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