早稲田大学スポーツ科学学術院は、キユーピーとの共同研究で、キャベツを噛んで食べたときと噛まずに食べたときとの食後の代謝への影響を調べた。すると、噛むことで、血糖値を下げるホルモンであるインスリンがしっかりと分泌されるほか、インスリンの分泌を助けるホルモン、インクレチンも食後の初期段階から刺激されることが判明した。
実験では、平均年齢22歳の健康な男性19人を対象に、千切りキャベツを噛んで食べた場合と、キャベツ粉末を水に溶かしたものを飲んだ場合とで、食後180分までの血液を検査した。どちらも、血糖値を上昇させるためにエネルギー総量100キロカロリーのゼリー飲料を試験食として飲んでいる。その結果、食後45分から90分の間に、千切りキャベツを食べた人たちのインクレチンが大きく上昇していた。
ただし、咀嚼の有無による食後血糖値の変化は、ほとんど見られなかった。またインスリンは、血糖値の上昇によって分泌される場合と、インクレチンの刺激で分泌される場合とがあり、咀嚼がどちらに作用したのかは明らかにされなかった。さらにインクレチンは魚や肉の脂肪酸によって分泌が促されるため、そこをハッキリさせるには、通常の食事を使って検証する必要があるということだ。
ともかく、しっかり噛むことが大切だ。ベジタブルファーストの効果には諸説あるものの、咀嚼が促されるという点はハッキリした。「よく噛んで食べなさい」は食事の前の単なるお題目ではない根拠が、またひとつ増えたということだ。
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