クラウド・シーディングの仕組み
クラウド・シーディングとは、地上に設置した発生器や航空機を使い、既存の雲に雨や雪を降らせる化合物を散布する気象改変技術だ。独自のクラウド・シーディング計画を運営する米ネバダ州の砂漠研究所によれば、同技術には、雪の結晶の形成を促すことができるヨウ化銀が使用される。一方、UAE当局者は、同国では単に「天然塩」を使用しており、環境への悪影響はないとしている。CNBCは先月、水分を含んだ適切な雲が発生すると、UAEの当局者が専用機を発動する様子を番組の中で紹介した。この専用機から塩分を雲に噴射して水滴を大きくし、地面に落下させることで雨を降らせるのだ。UAEの主要都市ドバイは16日、同市の1年間の降雨量を上回る豪雨に見舞われた。これにより、ドバイ国際空港では発着便が乱れるなど、交通機関が混乱に陥った。SNS上には、同空港で浸水した滑走路を走行する飛行機の映像などが投稿された。地元メディアによると、UAEでは少なくとも1人が死亡、隣国オマーンでは19人が死亡した。
UAEは1990年代からクラウド・シーディングの実験を行っているが、この技術は世界各地で採用されている。砂漠研究所によれば、これは積雪量を増やす方法としては一般的で、オーストラリアのほか、米国のワイオミング州やモンタナ州などでは雪を降らせるためにクラウド・シーディングの実験が行われている。カリフォルニア州も、クラウド・シーディングで定期的に雨を降らせている。
だが、クラウド・シーディングはこれまでにも自然災害の原因だとする陰謀論に巻き込まれたことがある。カリフォルニア州で今年2月、2度にわたる暴風雨が発生した際、当局がクラウド・シーディングはなかったと発表していたにもかかわらず、災害は同技術によって引き起こされたとするSNSへの投稿が瞬く間に広まった。
(forbes.com 原文)