ライシ大統領は毎年恒例の陸軍記念日の軍事パレードで、先週末のイスラエル領内への攻撃は「限定的」かつ「懲罰的」なものであり、被害は軽微だったと主張。イスラエルが「わが国の領土にほんのわずかでも侵攻」するならば、より「激しく厳しい報復措置」をとると牽制した。
演説の中では、近年イスラエルとの関係を正常化したアラブ諸国についても強く非難し、「これらの国々は今、自国民の前で屈辱を味わっている」と述べた。
AP通信によると、イラン軍のパレードはテヘラン南部の幹線道路で行われるのが通例だが、今回は首都郊外の軍の施設で実施された。例年と異なり、パレードの生中継もなかったという。イラン当局は、この変更が中東で高まる緊張によるものかどうかは明言しなかった。
イスラエル当局は、イランへの反撃方法についてまだ検討中と伝えられている。17日にイスラエルのイツハク・ヘルツォグ大統領とエルサレムで会談した英国のデービッド・キャメロン外相は、記者団に「イスラエルが行動を起こすと決断しているのは明らかだ」「できる限り事態をエスカレートさせない方法で行動することを望む」と語った。
イスラエル当局者は、報復の必要性を言明している。国防軍のダニエル・ハガリ報道官は「このような攻撃に対してじっとしていることはできない」とし、イランが「無傷」で逃れることは許さないと主張。ヨアブ・ガラント国防相も、「イスラエルは中東全域で、わが国に敵対する行動をとる者すべてに敵対行動の代償は重いとはっきり示すために動いている」と発言した。
米ホワイトハウスは16日、イスラエルへの攻撃を受けて、イランの無人機とミサイル開発プログラムを対象とした追加制裁を発動する方針を発表した。ジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は、他の同盟国や連携国にも同様の対イラン制裁を期待すると述べた。また、政府として国防総省や米中央軍と協力し、中東における防空・ミサイル防衛能力や早期警戒システムの強化を行っていると説明した。
ただしホワイトハウスは14日、対イラン軍事攻撃には一切参加しないとイスラエルに伝えたことを明らかにしている。
イランは13日夜から14日未明にかけて、イスラエルに無人機と弾道ミサイルによる大規模攻撃を行った。今月1日にイスラエルがシリアの首都ダマスカスにあるイラン大使館領事部の建物を空爆し、革命防衛隊の幹部2人を含む16人が死亡したことへの報復だった。
イランとイスラエルはこれまで中東で代理紛争を繰り広げてきたが、相手の領土への大規模な直接攻撃は今回が初めて。イスラエルと米国などの同盟国は、ミサイルと無人機の99%を迎撃できたと主張している。
(forbes.com 原文)