欧州

2024.04.18 11:30

ロシア軍の「亀戦車」が早くも進化、甲羅の上にこぶ出現 正体は…

ロシア軍のT-72B3戦車。2022年8月、モスクワ郊外のアラビノで(Karasev Viktor / Shutterstock.com)

古いT-72戦車にドローン(無人機)対策の甲羅のような大きな装甲を後づけしたロシア軍の「亀戦車」は、1両限りのものではなかった。ロシアはこうした仕様の戦車を明らかに数多くこしらえていて、その「不細工ぶり」の改善も多少は図っているようだ。

16日、ソーシャルメディアで共有されたウクライナ軍のドローン映像やそのスクリーンショットにも、大きな屋根に覆われたロシア軍戦車の姿が映っている。本体はT-62、T-72、T-80、T-90のいずれかの戦車の通常型だろう。ここ数週間でウクライナの前線に登場した3両目の亀戦車であるこの戦車は、ウクライナ東部ドネツク州クラスノホリウカ周辺のウクライナ側の陣地を攻撃したもようだ。

この亀戦車には、「甲羅装甲」以外にも目を引くものがあった。もうひとつのドローン対策として、複数のジャマー(電波妨害装置)のかたまりが甲羅の上に張り付いていたことだ。

ジャマーを使えば、理論的には、ウクライナの戦場で多用されているFPVドローンの操縦に使われる無線信号を妨害し、その飛行を不可能にできる。機体重量1kgほどのFPVドローンは500gほどの爆発物を搭載し、自爆攻撃などによって歩兵を殺傷したり装甲車両を動けなくしたりしている。

ジャマーをはじめ、ロシア側が開発する新たな電子戦システムに、ウクライナ側は重大な関心を寄せている。新たなジャマーは機能するのか、機能するとすればどのようにかをウクライナ側は知りたがる。

ドネツク州リマン近郊の村テルニの東で今月、ジャマーを山のように積んだロシア軍のT-72が動けなくなったとき、ウクライナの精鋭部隊であるウクライナ国家親衛隊第12特務旅団アゾフ(通称アゾフ旅団)は、3夜にわたる襲撃を敢行してこの戦車をどうにか鹵獲し、ジャマーを調査している。

FPVドローンの飛行を妨害するジャマーと、妨害を突破したドローンの爆発物を車体の外で爆発させる装甲を備えていれば、亀戦車は理屈としてはウクライナ側のFPVドローンに対してかなりの防護力を得られると考えられる。ウクライナ軍はFPVドローンを月におよそ10万機投入し、連日、ロシア軍の歩兵を何十人と殺害し、装甲車両を何両も破壊している。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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