イスラエルの戦時内閣は4月16日朝の会議で、報復の選択肢を議論したと報じられている。国防軍トップのヘルジ・ハレヴィ参謀総長は、記者団に対し「我が国の領土に向けた大量のミサイルやドローンの発射には報復で対応する」と語ったが、どのような対応を検討中であるかは公にされていない。
米政府の当局者はCNNとNBCニュースに対し、イスラエルの報復が限定的なものになる見通しを示し、CNNは16日に、イスラエルがイラン国内への限定的な攻撃を検討している可能性を報じた。
複数のアナリストは、イランへのサイバー攻撃や、イラン国外にあるイランの施設や代理グループを標的にする攻撃が、緊張を抑制するためのオプションとして浮上したと述べている。また、イスラエルが長年脅威とみなしているイランの核施設に向けた攻撃も想定されるが、国際原子力機関(IAEA)のグロッシー事務局長は、イランがイスラエルからの報復を警戒して一時的に施設を閉鎖したと記者団に語った。
IAEAは、査察団をイランの核施設から撤退させたが、「早ければ16日に査察を再開する」と述べている。
しかし、複数の専門家は、イスラエルが核施設を標的にすることはありえないと述べており、イスラエルのシンクタンクである国家安全保障研究所(INSS)のラズ・ジムトは、ウォール・ストリート・ジャーナル紙に対し、イランの核施設への攻撃は、緊張を急激にエスカレートさせる可能性があると語った。
一方でジムトは、英紙フィナンシャル・タイムズに対し、週末のイランからの直接攻撃の重大性を考えれば、イスラエルがイランを直接標的にしないことは「ほとんどありえない」と語った。
イスラエルとイランの緊張関係は、イランと同盟関係にあるハマスが10月7日にイスラエルを攻撃し、イスラエルがガザ地区への大規模な侵攻を開始して以来、激化している。両国は長年、対立関係にあるが、その対立のほとんどはイランが支援するヒズボラのような代理グループや、それぞれの国の国境外での攻撃、あるいはイランの核開発プログラムを弱体化させるためのイスラエルの秘密工作を通じて行われてきた。
ネタニヤフ首相が直面する重圧
しかし、4月1日にイスラエルがシリアのイラン大使館を爆破し、7人の軍関係者が死亡したことを受けてイランは反撃の意思を示した。14日の攻撃は、イランがイスラエルを直接攻撃した初めてのケースとなった。イスラエルは大使館爆破事件との関連性を広く指摘されているが、その責任を公には認めていない。一方、ネタニヤフ首相は、強硬な対応を求める極右的な政府と、さらなるエスカレートを避けようとする国際的な圧力の間で、うまく折り合いをつけることを求められている。
一部の専門家は、イスラエルの報復を確信しているが、米国のシンクタンクである中東研究所のニムロッド・ゴーレンは、16日のディスカッションで、「ネタニヤフ首相の行動を予測するのは難しい」と述べ、イスラエル国民の大半は、大規模な反撃を求めていないと語った。彼はまた、ハマスとの戦争の中で国内からのプレッシャーに直面するネタニヤフ首相が、イランからの攻撃を受けた場合の報復を、すでに約束していたものの、今回の攻撃によって、その約束を少し後退させ、異なる対応をとる可能性が浮上したと指摘した。
(forbes.com 原文)