欧州

2024.04.17 11:00

ウクライナ軍で痛恨の「内紛」発生、要衝の部隊入れ替え 火力弱体化

安井克至
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「これらの措置の主な目的は、わが軍の戦闘能力を高め、兵士たちの命を守り、敵の計画をくじき、予備部隊の備えを万全にすることにある」とシルスキーは述べている。ほかのこと、たとえば部隊の分断を招くような極右グループの政治的な動きは、邪魔なものだということだ。

運河地区の防衛は、最も近くに配置されていた第241独立領土防衛旅団が担うことになったもようだ。ウクライナ軍東部作戦コマンド(統合司令部)は、チャシウヤールの守備隊に政治的な過激派が跋扈しなくなったことに安堵しているだろうが、同時に新たな問題を抱えることになった。

ウクライナの領土防衛隊は、米国で言えば陸軍州兵に当たる。州兵の場合と同じように、領土防衛隊の装備は一般的に現役部隊よりも古く、軽量だ。チャシウヤールの守備隊は第67旅団を失ったのにともない、同旅団に配備されている戦車や大砲も失った。

リスクはシルスキーも認識しているようだ。シルスキーが、チャシウヤールにドローン部隊の増援を送る意向を示したのはそれと関係しているだろう。彼は調査で得られた「主な結論」のひとつとして、「さまざまな用途のハイテク無人システムの数を、訓練された操縦士と併せて増やす」必要があると表明している。

兵士と比べて明らかにドローンのほうが好都合な点がひとつあるとすれば、ドローンは政治思想を持たないということだろう。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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