そこでGAKUでは、講師のクリエイターが名前を覚えられるよう十数人の小規模クラスで何度も接点をつくり、影響を受けられるような設計にしました。学生たちは、約半年間の授業を経て成果物をつくり、発表して、社会や講師からフィードバックを受けます。人生の方向性を決めるにあたって、その道のプロから評価を受け、その内容をしっかり受け止めることはとても大事なことです。
クリエイティブの「原点」に立ち会う
髙木:GAKUで教えるなかで、実際に子どもたちの変化を目の当たりにすることは多いですよね。僕は、The 5th Floorのキュレーターとして、企画展を制作することを目的とした「CO─CURATING」という授業を担当しています。昨年10月には、有楽町ビルで学生たちによる企画展を開いたのですが、みんなの底力を見せられました。企画展のテーマは「夜明け前の中で」。学生たちはこのテーマをそれぞれ解釈したうえで、キュレーションする作品を決めていきました。そして学生自ら作家に手紙を送って出展を依頼する。その手紙がもう胸アツで。なかには、アーティストの髙橋銑さんに「一緒にこういう作品をつくりませんか」ともちかけた子もいました。なんとその思いが髙橋さんに届いて、開催まで1カ月を切っていたのにもかかわらず、この企画展のために新作をつくってくれて驚きました。結果的に3日間で300人ぐらいの来場があり、大きな反響がありました。
江﨑:すごいですね!
僕は「Beyond the Music」という授業を担当しています。音楽を通じて、言語、文化、歴史、物理、民族、テクノロジーといった、他の領域への学びを深める試みです。学生たちは座学の期間が終わったら、楽曲の制作・リリースに挑戦します。
授業回数を重ねるにつれて、アウトプットが明らかに変わっていくのはもちろん、個々人の内面的なものが解放されていくのを感じています。また、GAKUの教室で音楽制作に興味のある仲間にも出会うことができるので、お互いに刺激し合える存在になっているようです。「次は一緒にこういうものをつくろう」とか、新しい一歩を踏み出すきっかけが生まれています。