中国経済が切羽詰まった状態であることに疑いの余地はほぼない。2021年に不動産開発大手の恒大集団(エバーグランデ)が経営危機を認めたことから始まった不動産危機は悪化の一途をたどっている。当局が長い間、問題を放置したために、不動産危機は住宅販売と建設活動の低迷を招いている。今年1~2月の住宅販売額は前年同期比33%減、着工は同30%減だった。
問題はそれだけにとどまらない。不動産危機により個人と金融機関は多額の怪しげな債務を抱え、成長を支える金融に負荷をかけている。加えて、住宅販売減は不動産価値を押し下げた。それにともない家計資産は目減りし、消費を抑制している。また、歳入を不動産開発に頼っている地方自治体は不動産危機により債務の返済が困難になっており、住民に基本的なサービスを提供することすら難しくなっている自治体もある。
中国の指導部はこうしたさまざまな問題への対応を誤った。何年もの間、不動産危機に向き合わなかったため、問題はさらに広がった。直近の対応も、長期化する不動産開発企業の破綻の影響に対処するには不十分だ。小幅な利下げの効果は何カ月もみられず、中国人民銀行が小幅な利下げに固執していることから、追加で金利を引き下げてもほぼ無駄だろう。また、国有銀行が融資を行う「ホワイトリスト」というプロジェクトの予算は少なく、不動産開発企業が抱える数千億ドル規模の損失を埋めることはできない。製造業と輸出を強化しようとする現在の取り組みも失敗だ。
確かに輸出主導の成長モデルは過去にはうまくいった。実際、このモデルにより中国は1990年代から2010年代にかけて大きく成長した。だが今は状況が違う。当時、中国は輸出に頼るしかなかった。あまりに発展途上で消費者の需要が乏しく、内需は必要なインフラの整備に頼っていた。国内で生産された製品を自国で消費することはできなかったのだ。