だが、太陽系外の恒星系にある地球型惑星にも、樹木に似た生命体が生育していることが期待できるだろうか。
米エール大学の進化生物学者、エリカ・エトワーズは取材に応じた電子メールで、太陽に似た恒星を公転している生命系では、何らかの形態の光合成(光エネルギーを利用し、貯蔵可能な化学エネルギーを生成する)作用が進化している可能性はかなり高いと思われると語っている。光合成は、地球では約5億年前に水中から出て陸地に上がったが、もし地球型系外惑星でも同じことが起きれば、何らかの樹木に似た形態のものが進化すると予想されると、エトワーズは述べている。
木のない地球
だが、地球の歴史から見てその大半は、地球上に木がない状態だった。実際、樹木は出現してから約4億年しかたっていない。これは、地球の歴史全体の約10分の1にすぎない。最古の樹木種より古いサメの種さえも存在する。米カリフォルニア大学リバーサイド校の宇宙生物学者エドワード・シュビーターマンは取材に応じた電子メールで、地球の生命史の大半、そして実際に光合成の歴史の大半で、ここ地球には樹木がなかったと指摘している。地質学的に見ると樹木の発達は比較的最近で、約3億8500万年前のデボン紀に出現した。それでも、樹木が生育している惑星は、頑健で多様性のある陸上生態系を有している可能性がより高いという。
地球上で最古級の樹木であるスウェーデンのトウヒ(マツ科の針葉樹)は、樹齢9500年以上だ。地球型系外惑星では、これほど長寿命の樹木種が進化によって選択されるだろうか。
ブラジル・リオグランデドスル連邦大学の生態学者、ミルトン・メンドンサは取材に応じた電子メールで、大半の樹木種の枯死は寿命の初期段階で起こるが、すべては環境の安定性次第だと説明している。気候や気象条件が極めて不安定で予測できないような惑星では、可能な限り繁殖を行ったり丈夫な胞子を残したりなどの代替戦略を用意しておくのが得策かもしれないと、メンドンサは指摘する。このような状況は、不安定な系外惑星系の形成初期や、複雑な軌道力学が作用する系外惑星の衛星などで発生する可能性があると、メンドンサは続けた。