Coral Capitalは17年のシードから23年3月のシリーズBまで全ラウンドでカミナシにリード投資を行い、支援している。同VC創業パートナーCEOのジェームズ・ライニーが投資し続ける理由とは。
ライニー:諸岡さんとの初対面は、2016年秋にあった起業家と起業志望者が集まる懇親会だったよね。大勢いて席も離れていたから僕は挨拶程度しかできなくて、あまり記憶に残っていないのだけれども(笑)。
諸岡:そのときは、澤山(陽平・Coral Capital創業パートナー)さんがたまたま近くに座っていたんですよね。当時、僕は家業に就いていて、食品工場やホテルの客室清掃など、ブルーカラーの現場で働いていたのですが、紙に依存した業務の非効率さをお話したところ、澤山さんが「そういう業界ほど実は魅力的なんだよね」と背中を押してくれて。それで起業を決意したんです。
ライニー:その後、定期的にやり取りするなかで、諸岡さんがうちのオフィスに来てくれたときに進捗について詳しく聞いたら、事業に対する解像度がすごく上がっていた。自分でソフトウェアのコーディングも頑張っていてスピード感があったし、この人は本気だなと。現場のDXについて海外の動向を調べてみると、成功事例が出始めていた時期で、可能性があると思いました。
諸岡:そのあとすぐに投資の連絡をくれたよね。まだプロダクトもなくて、社員も僕ともうひとりしかいない状態なのに、よく声をかけてくれたなと(笑)。でも、実はそこから3年弱は低空飛行が続いたんです。売り上げが全然伸びなくて、ジェームズに会わす顔もなかった。19年11月のことは今でも鮮明に覚えています。ピボット(事業方針の転換)すると決めて報告しに行ったら、「諸岡さんはifじゃなくてwhenだと僕は信じているから」と励ましてくれて。要は、成功するかどうかじゃなくて、いつ成功するかだけの話だからまったく問題ないよと。それですごく前向きに再始動できた。